ビル・ゲイツもバフェットも、なぜ働き続けるのか?人間にとって「仕事」が必要不可欠な理由

2/28(土) 7:00配信
ダイヤモンド・オンライン



 十分すぎるほどの財産を手にしても、働き続ける人がいる。ビル・ゲイツは慈善事業に力を注ぎ、ウォーレン・バフェットは投資と寄付をやめず、マーク・ザッカーバーグも社会への還元を掲げて活動を続けている。生活のためでも、義務感でもないのに、なぜ彼らは仕事から離れないのか。作家・浅生鴨はこの素朴な疑問を手がかりに、働くことがお金以上に私たちにもたらしているものを掘り下げていく。※本稿は、作家、広告プランナーの浅生 鴨『選ばない仕事選び』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。文

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● 十分にお金を持っていても なぜ人は働き続けるのか

 僕はとにかく働きたくない。仕事なんてしたくないのである。毎日ゴロゴロして暮らしたいのである。何もしないでのんびり過ごしていたいのだ。君だって僕のこの気持ちは分かるはずだ。

 でも、もしも君がそう言ったら、周りの大人たちはどんな反応をするだろうか。「誰だって働いている」「働かなきゃ生きていけない」なんてことを言うに違いない。

 そして「働くのが当たり前なのだから、将来どんな仕事をしたいかを早く決めなさい」とプレッシャーを掛けてくるだろう。

 でも、君はもう知っている。働かなくても生きている人はちゃんといるのだ。

 たっぷりと「不労所得」が入って、生活の心配をする必要がない人たち。家も車もあって、旅行も贅沢も好きなときにできる、そんな大富豪たちだ。

 けれども、そんな世界の大金持ちの中にも、毎日のように仕事場へ出かけ、誰かと会議をして、ときには夜遅くまで仕事場に残って働く人がいるのだからわけが分からない。

 もう一生暮らせるくらいのお金は稼いでいるのだから、働かなくても十分に生きていけるじゃないか。食べるものにも住む場所にも困らないじゃないか。

 僕だったら働かないぞ。それなのに、なぜ働くのだろう。

● あの投資家も起業家も 「やりたい」から仕事をしている

 それは僕たちが働く理由が、本当は生活のためじゃないからである。何度も書いているけれど、仕事とお金は関係がないのだ。

 例えばマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは巨大な企業をつくって莫大な財産を手に入れたあと、慈善団体を立ち上げて運営している。発展途上国の医療や教育、水の衛生環境が向上するなど、世界中の困っている人たちを支援する団体だ。

 ゲイツは、もう働かなくてもいいのに、会社勤めをするよりも、もっと忙しい日々を送りながら、世界を少しでも良くしようと動いている。

 同じようなことをしている人は他にもいる。アメリカの投資家ウォーレン・バフェットは、自分の財産の大半を慈善活動に使うと決めていて、いろいろな団体への寄付を続けているし、Facebook 創業者のマーク・ザッカーバーグも、自分の財産の多くを「社会に還元する」と宣言して、教育や科学研究への支援を行っている。

 僕の考える仕事とは、お金をもらうためにするものではなく、世界に何かを付け加える行動、ほんの少し世界を変える行動のことだ。その意味で、彼らがやっているのは、まちがいなく仕事だ。お金をもらうかどうかは関係ない。だってお金はもうたっぷりもっているのだから。

 大金持ちたちが、発展途上国にワクチンを届ける仕組みを作ったり、読み書きを学べない子どもたちのための学校を建てたり、気候変動に取り組む研究者を支援したりするのは、もちろん生活のためじゃない。それをやりたいからしているのだ。できるからしているのだ。

● 仕事を通して得られる 人との「つながり」

 お金をたくさん持っている人は、たいていのことが自由にできる。旅行でも買い物でもやりたい放題だ。

 僕は大金持ちになったことがないから、本当のところは分からないけれども、たぶん何でも自由にできると、そのうち飽きてしまうのだろう。僕だって飽きるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも、人と出会ったり、誰かといっしょに何かを考えたり、意見を交わしながら世界を変えていくことは飽きないのだろう。きっと、そこには人との「つながり」があるからだと僕は思う。

 実は、仕事とは社会とつながるための手段なのだ。世界を動かすこと、世界に何かを付け加えること。それこそが、僕たちが社会や他人とつながるための唯一の方法なのだ。

 誰かといっしょに何かを作ったり、悩んだり、意見をぶつけ合ったり、解決したりする。その関係の中に、自分の存在が形を持ちはじめる。そして、そんな時間を重ねるうちに、人と人との間に信頼が生まれ、役割が生まれ、それがまた次の行動につながっていく。

 それが働くことの本質だ。働かないとき、僕たちは孤独になる。僕たちは、誰ともつながらないまま1人で生きていくことのできない生き物だ。だから大人たちが「働かないと生きていけない」と言うのは正しい。

 でも、それはお金や生活のためじゃない。必要なのは、人とのつながり、社会とのつながりなのだ。

 社会とつながること。人とつながること。それは働くときだけでなく、君の人生にとっても、きっととても大切なことだと僕は思う。世界に何かを付け加える行動、世界を少し変える行動が仕事だ。

 でも、その行動を1人だけでなく誰かと一緒にできたら、仕事はもっと楽しくなるのかもしれない。

浅生鴨