ベインが東芝買収を検討 筆頭株主と合意、非公開化前提
企業統治
2022年3月31日 19:40


米投資ファンドのベインキャピタルが東芝の買収を検討していることが、31日わかった。株式の非公開化を前提にした提案の策定を進めている。東芝の筆頭株主の投資ファンドとTOB(株式公開買い付け)実施時の応募契約などを結んだ。グループ全体を分割する案が頓挫した東芝の再編策が前進するが、改正外為法や各国の競争法など、非公開化の実現には課題が多い。

ベインと筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントは、ベインが東芝にTOBした場合にエフィッシモは保有株全ての売却に応じることや、ベイン以外の第三者のTOBには応じない内容を含む契約を結んだ。東芝株を10%弱保有する筆頭株主が東芝の非公開化を望む姿勢を鮮明にしたことで、再編策は非公開化を中心に進むことになる。
ベインは単独での買収には乗り出さず、日本の投資ファンドなど国内勢を加えた連合作りを進める。買収提案がまとまり次第、非公開化を東芝に申し入れる。ベインは東芝からメモリ事業を買収するなど関係もあり、非公開化で企業価値を高められると判断した。ベインとエフィッシモが事実上組んだことで、他の外資系ファンドは自らが主導した買収提案をしにくくなる可能性がある。
東芝は改正外為法で国が特に重要な「コア業種」として位置付ける原子力事業を抱える。買収には国の重点審査が不可欠となり、外資であるベイン単独での買収は事実上、不可能とみられている。各国の競争法の審査も必要となる。



東芝の非公開化を巡っては、2021年4月に英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズが初期提案をしたが、交渉は実質中止となった。分割案を主導した東芝の社外取締役で構成する戦略委員会も21年に外資系の投資ファンド5社と、非公開化の実現可能性を協議した。ともに障害となったのは外為法で、今回のベインによる買収が実現するかも不透明だ。
東芝の時価総額は31日時点で約2兆円で、全株を取得する非公開化には多額の資金が必要だ。エフィッシモと応募契約は結んでいるが、TOB価格は決まっていない。東芝株を保有する他のアクティビスト(物言う株主)が納得する価格になるかも課題となる。
ベインは31日、「決定した事実はない」とした上で、「東芝の非公開の実現に向けては解決すべき課題が多い」とコメントした。
ベインは18年に東芝からメモリ事業(現キオクシアホールディングス)を買収した。日立金属の買収も既に決めているほか、ニチイ学館などを買収した実績がある。
東芝は24日に開催した臨時株主総会でグループ全体を2分割する会社議案が否決された。シンガポール拠点の資産運用会社、3Dインベストメント・パートナーズなど主要株主は株式の非公開化を求めていた。