【私の場合】
母のようになりたくない。
私は強く思っていた。
仕事から帰ると慌ただしく家事をし
食後は息つく暇なくせかせかと片付けをし、
「忙しい」と「お金がない」を繰り返した。
「仕事もしたくてしてるわけではない、生活のために仕方なくしている。仕事などそういうものだ。」
と吐き捨てる。
じゃあその人生でしたいことは一体何なのだ。
何が楽しくて生きているのだ?
母の人生に思いを馳せて初めて、
母にとって仕事の内容など、どうでも良かったのだと気付く。
とにかく「働く」ことが第一。
自分の好きなことをすれば家族を犠牲にする。
働かないことは罪である。
母が祖父を反面教師として学びとったことだ。
その価値観が、罪悪感が、母を休む間もなく働き続けさせてきた。
私はその母をまた反面教師とする。
自分の好きなことをして豊かに人生を楽しむ姿を子供たちに見せたい。
生きることを、生活を、丁寧に楽しみたい。
…
「自分にはセンスも才能もなく不器用で
何の取り柄もない。」
自分で自分を卑下する母が嫌いだった。
しかし、
酒を飲み荒れた祖父に、そう罵られ続けたのだとハッと気付いたとき胸が痛かった。
自己暗示?
祖父の言葉で自分を制限してしまっている。
鎖に繋がれ続けた子象が、鎖を外しても遠くに行けないのと同じ。
それとも、忌み嫌った祖父に似ていたくないがために自分の芸術性を抑え込んだのか。
祖父よ、これをどう思う?
私には、祖父の器用さやセンスを受け継いだ片鱗が母に見える。
そして母が嫌った私の芸術性も、あなたから受け継いだものではないだろうか。
私は私の才能と能力と知識を最大限に生かし生きると決意する。
そして母を解放する。
母もまた、本来もつ能力を生かし人生を楽しめるように。
…
「外見をできるだけみすぼらしくしてください」
建設会社との話し合いで父が言った。
私は驚いた。
家を増築して、せっかく私の部屋ができるのに。
見た目も綺麗にしてほしいのに。
嫉妬されないよう目立つことを避ける。
世間の目を優先する。
それが家族を守る術である。
それが父の価値観だった。
私は覆したい。
世間体などくそくらえ。
世間が決めた常識も暗黙の了解もすぐに翻る薄っぺらいものじゃないか。
人に何を言われようが、自分で自分を誇れるのなら、どんな生き方だって可能じゃないか。
決断力と細やかな配慮と気転、頭の回転の速さ。
スマートな容姿も高らかな声も自然に目立つ。
父は昔からリーダー的要素のある人なのだと、大人になった私は改めて思う。
それなのに目立つことを悪とし、生まれ持った資質を押さえ込んで生きてきた。
父の価値観を私も受け継いだ。
学級委員長や地区の代表に選ばれたときも、
私は目立ちたくないと辞退した。
それでも嫉妬されやすかった。
嫉妬されるのは怖かった。
世間の目に、人の評価に、過剰に反応し自分を隠した。
私もまた、自然に目立つ父の要素を受け継いでいるのかもしれない。
それは抑え込むべきではないのかもしれない。
退職した父は町内会長を務め、地域のリーダー的存在となっている。
狭い。
もったいない。
その資質があればもっと高みへ行けただろうに。
けれど、父は今、自分を「生かして」生きている。
とても楽しそうだ。
私はどうだ?
中心に立ち、高らかに声を上げ、細やかな配慮で人々を「生かす」道へ導けるか?
自分の父親からは学べず、思うように進学できなかった父は、
私には生物の知識をめいっぱい教えてくれ、大学進学という道を与えてくれた。
押さえ込んだものの解放
反面教師として学んだこと
受け継いだ能力
祖父母が、両親が、
それぞれが苦しみ悩みながら学び、
喜びを見つけ生き、子へ繋いだ。
すべてを統合して「今」の私がいる。
両親や祖父母が出来なかったことを
私は叶えることができる。
私から受け継いでゆく子供たちもいる。
人類の進化の一部である自分。
私は私として最大限の進化を遂げる。
そして次へ繋ぐという使命。
1人ひとりの人間が
進化を遂げ繋いだ未来に
人類として
地球として
太陽系として
宇宙としての壮大な進化がある。
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私たちは宇宙の進化を担う一部ですよ。
誇らしいですね。
せっかくだし、
この人生で最大限の進化を遂げたい…よね?
壮大な俯瞰の視点を心に留めておいてくださいね。
長文お疲れさま。
HELIX