「6人ずつに別れて行動する斑を決めてください。」
担任の言葉が放たれた瞬間、
教室にはざわめきと共に
透明な触手がぶわっと広がった。
女子は面倒くさい。
しなやかで長い触手は俊敏に探り合いを始める。
騒がしい教室の中、暗黙の了解がなされる。
次々と決まってゆく6人グループ。
安堵は優越感となり
不安は劣等感を生む。
見えない触手は教室のヒエラルキーを浮き彫りにした。
ああこの空気。
大人になっても変わらない。
触手を伸ばして探り合い
群れを形成し安堵する。
狩猟時代、女たちは生き残るために共存した。
共存本能の名残なのか。
「属する」ことを選ぶ自分に
嫌気が差すこともある。
ただ、「属する」ことでしか味わえない
暖かく心地よいものがあるのも確か。
ああ私は
優越感も劣等感も抱かずに
安堵も不安も感じずに
ただ粛々と「私」でありたい。
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最近はスクールカーストと呼ぶのですね。
優劣を付けて並べたがるのは
学校という特殊空間の性質なのかもしれません。
個性や多様性に
本来は順番などつけられない。
けれども。
私たちの脳は曖昧さを嫌い
分かりやすい分類と順列を好むのです。
保護者として学校行事に関わる機会が増えました。
しっかり自分を保たないと
あの独特の空気に飲まれて心がざわつくので
ひさびさのMENTAL HEALTHシリーズ、
自分に渇を入れるために書きました。