MENTAL HEALTH 11(見えない触手) | ◎時空の螺旋◎ spatio-temporal-*HELIX*

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この世界の美しさ
自然の摂理の巧妙さ
命の営みの不思議さ

センス・オブ・ワンダーをアートで表現します。

「6人ずつに別れて行動する斑を決めてください。」

 
担任の言葉が放たれた瞬間、
教室にはざわめきと共に
透明な触手がぶわっと広がった。
 
女子は面倒くさい。
 
しなやかで長い触手は俊敏に探り合いを始める。
 
騒がしい教室の中、暗黙の了解がなされる。
次々と決まってゆく6人グループ。
 
安堵は優越感となり
不安は劣等感を生む。
 
見えない触手は教室のヒエラルキーを浮き彫りにした。
 
 
ああこの空気。
 
大人になっても変わらない。
 
触手を伸ばして探り合い
群れを形成し安堵する。
 
狩猟時代、女たちは生き残るために共存した。
共存本能の名残なのか。
 
「属する」ことを選ぶ自分に
嫌気が差すこともある。
 
ただ、「属する」ことでしか味わえない
暖かく心地よいものがあるのも確か。
 
ああ私は
優越感も劣等感も抱かずに
安堵も不安も感じずに
 
ただ粛々と「私」でありたい。
 
 
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最近はスクールカーストと呼ぶのですね。
優劣を付けて並べたがるのは
学校という特殊空間の性質なのかもしれません。
 
個性や多様性に
本来は順番などつけられない。
 
けれども。
 
私たちの脳は曖昧さを嫌い
分かりやすい分類と順列を好むのです。
 
保護者として学校行事に関わる機会が増えました。
しっかり自分を保たないと
あの独特の空気に飲まれて心がざわつくので
ひさびさのMENTAL HEALTHシリーズ、
自分に渇を入れるために書きました。