「火の鳥」2017.01 | ◎時空の螺旋◎ spatio-temporal-*HELIX*

◎時空の螺旋◎ spatio-temporal-*HELIX*

この世界の美しさ
自然の摂理の巧妙さ
命の営みの不思議さ

センス・オブ・ワンダーをアートで表現します。

病院?学校?

誰もいない薄暗い廊下の上を

滑るように私は・・・飛んでいた。

 

私は鳥だった。

翼の大きな猛禽類。

 

ここは狭い。

翼が当たって自由に羽ばたけない。

 

「そこから出てみなよ。」

 

私だって出たいんだ。

でもドアも窓も閉まっている。

翼の手じゃ鍵が開けられない。

 

階段上を滑るように上昇する。

次の階も、また次の階も、すべての出口は閉まっていた。

 

出られない。

心がざわつく。

 

「自分の力を使ってみなよ。」

 

自分のチカラ?・・・ああ、そういうことか。

 

ここはイメージの世界、なんだってアリだ。

 

私は最上階の、天井に背中を押し付けると

上に向かって羽ばたいた。

 

外に出たいんだ!

 

うにゅーんと溶けたプラスチックのように

天井が伸びた。

 

力を振り絞って上昇する。

 

天井は、ぱんっと弾けて穴が開いた。

 

転がるように外に飛び出ると

私は星空の下で思いっきり羽ばたいた。

 

自由だ、なんて気持ちいい!!

 

「ちゃんと力を使えたね。」

 

声の主は空を覆うような大きな真っ赤な・・・

 

 

火の鳥?

 

炎のように揺らめいて輪郭が曖昧だ。

 

火の鳥と一緒に遙か上空へ舞い上がった。

 

地球の丸みが分かるほど上空から日本を見た。

それは3種類の映像が同時に見える

不思議な感覚だった。

 
九州を足元に北海道を見上げるような映像。
どこかの航空写真のような映像。
可視光線以外を使ったような、赤い流れの映像。
 
火の鳥はエネルギーの流れを調整する役目だ、と教えてくれた。

赤い流れが日本に流れるエネルギーらしい。

 

血管を流れる血液のようだった。

 

「九州にエネルギーが集まりすぎている。

雨を降らせて抑えていたけど

雨の季節が終わってしまった。

どこかで放出させる。」

 

それはガスを抜くような作業で、

火山の噴火を意味していた。

 

「やってみる?」

 

言葉と同時に噴火させる方法が伝わってくる。

 

ちょっと待って!

 

私のせいで被害を受ける人がいたらイヤだ。

 

「大丈夫、被害が出ないようサポートする。」

 

でも、でも・・・私は怖くなって断った。

 
 

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これは2016年夏の終わりごろに見たビジョンです。

震災のあった熊本に大雨の被害も重なり、

なぜ、と心を痛めていた頃でした。

 

雨は大地を冷やし噴火や地震を抑えるためで、

それがなければもっと大きな被害になっていたのでしょう。

 

このイメージの約一ヶ月後に阿蘇山が噴火しました。

犠牲になった方がいなくて安心しました。

 

イメージの世界での”チカラ”とは

まさに

”イメージの力”

のことを指すようです。

 

他人の手で開けられた窓やドアを探していた私に対し

 

「自分のチカラで何とかしろ」

 

と言われたのは何とも象徴的というか、

身につまされる思いでした。