「猫と金魚」
猫は水の中を泳ぐ金魚を見つめていました。
猫は金魚に聞いてみました。
「ねぇ、水の中ってどんな気分?」
「水の中?水とは一体何のことでしょう?」
「アナタの周りにあるもののことよ。」
「ああ、それならあなたの周りにあるものと同じでしょう。」
「ワタシの周りには何もないわ。」
「そうですか?私には見えますが。」
・・・
金魚か動くたび、
やわらかそうなむなびれから、
しなやかな胴体から、
華やかな尾びれから、
くるくると渦が沸き起こりました。
まるで水の中に模様を描いているようでした。
「ねぇ、アナタはどうやってそのぐるぐるを描いているの?」
「私は描いているつもりはありませんが。
ぐるぐるなら、あなたの中にも見えますよ。」
ワタシの体の模様のことを言っているのかしら、
と猫は思いました。
・・・
「ねぇ、アナタを食べたら、そのぐるぐるは
ワタシのものになるかしら?」
「・・・・・・あなたの中のぐるぐると
混じって溶けてひとつになるでしょう。
そしてあなたもやがて
あなたの周りにあるものと
混じって溶けてひとつになるでしょう。」
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絵を描くことで、理解できることや
はっと気づくことがたくさんあります。
レオナルド・ダ・ヴィンチが水の流れを
たくさんスケッチして理解しようとした気持ちが、分かるような気がします。
私は生き物の体のラインがすごく好きで
自然のままで美しいと思っているので
変にデフォルメしたくないな、と思って
がんばってリアルに描こうとしています。
(リアルに描くのはそれはそれでしんどいので
なんとか折衷案を見つけたいんですが)
「渦巻く世界」http://ameblo.jp/spatio-temporal-helix/entry-12249955684.html
で、カメレオンやカタツムリや蝶など
もともと渦巻きを持つものと、
渦巻きを持たない生物を描きました。
猫と金魚を改めて描いてみて、
渦巻きを持たない生物にも
その体のラインや動きの延長に
黄金比の曲線が存在することに
気付きました。
だから美しく感じるのか!と
ナゾが解けた気分です。
ではもうそろそろ、次回は
関西弁を喋る龍の第6話
『存在たち』を書こうと思います。