3.都市と人間の相互作用
これまで論じてきたことからも明らかな通り、都市と記号論との関係は深い。
それでは最後に記号論の視点から都市と人間との相互作用について論じることで締めくくりたい。
最初に論じたように、宇宙観の変遷に伴い都市の構想は変化してきた。
放射状の都市は、異質性・異方性を有した特異な場所として存在している。
つまり、境界・領域が曖昧であるということだ。
一方、グリッド状の都市では、均質化された空間であるため領域がはっきりと区分されているものの、
これまで論じてきたことからも明らかな通り、都市と記号論との関係は深い。
それでは最後に記号論の視点から都市と人間との相互作用について論じることで締めくくりたい。
最初に論じたように、宇宙観の変遷に伴い都市の構想は変化してきた。
放射状の都市は、異質性・異方性を有した特異な場所として存在している。
つまり、境界・領域が曖昧であるということだ。
一方、グリッド状の都市では、均質化された空間であるため領域がはっきりと区分されているものの、
断片化され人間の行為の連続性を遮断してしまう。
そこでは、記憶が曖昧になってしまうだろう。
森(2001)は、近代都市を記号都市だと言っている。
つまり、都市は脳の外化であり、あらゆる面において言語脳の生成物である用語(ターム)によって
そこでは、記憶が曖昧になってしまうだろう。
森(2001)は、近代都市を記号都市だと言っている。
つまり、都市は脳の外化であり、あらゆる面において言語脳の生成物である用語(ターム)によって
デザインされ維持されているということである。
これは、記号の象徴性を強調している。
なぜなら、象徴性とは表象のことであり、時間と空間を越えてめぐらされるものであるからだ。
また森は、象徴性には感情が伴うことも述べている。
都市によって抱かされる感情とは、魅力であり恐怖だろう。
人間は全体が見通せないものに関して魅力を感じるとともに恐怖を感じる傾向にある。
これらの感情を想起させる都市とは、やはり不思議な存在である。
また、先述の通り、都市に溢れる情報の質と量が劇的に変化したことを述べた。
情報の質の変化は、我々のコミュニケーション手段に影響を及ぼす。
そして、情報の量の変化は、我々の感情・感覚に多大な影響を及ぼす。
篠田(1982)は、「都市の混沌ぶりが各種記号の氾濫を生み出し、
これは、記号の象徴性を強調している。
なぜなら、象徴性とは表象のことであり、時間と空間を越えてめぐらされるものであるからだ。
また森は、象徴性には感情が伴うことも述べている。
都市によって抱かされる感情とは、魅力であり恐怖だろう。
人間は全体が見通せないものに関して魅力を感じるとともに恐怖を感じる傾向にある。
これらの感情を想起させる都市とは、やはり不思議な存在である。
また、先述の通り、都市に溢れる情報の質と量が劇的に変化したことを述べた。
情報の質の変化は、我々のコミュニケーション手段に影響を及ぼす。
そして、情報の量の変化は、我々の感情・感覚に多大な影響を及ぼす。
篠田(1982)は、「都市の混沌ぶりが各種記号の氾濫を生み出し、
都市で生活するものや働くものたちを疲労させ混乱させる」と述べている。
つまり、過激な刺激(情報)にさらされることは、
つまり、過激な刺激(情報)にさらされることは、
人間の情報処理能力や注意資源の限界を考慮すると自己防衛を取らざるを得ない状況だということだ。
その自己防衛手段とは、情報を自ら遮断し、無感覚になることである。
4.結論
以上のように、都市と人間の相互作用を論じてきたが、
都市が我々の感覚を鈍感にしているとすれば、何か解決策はないだろうか。
吉岡(1989)が、その解決策の手がかりを与えてくれている。
彼は、人間の住める真の都市を
「単なる生活や仕事の場であるばかりでなく、
その自己防衛手段とは、情報を自ら遮断し、無感覚になることである。
4.結論
以上のように、都市と人間の相互作用を論じてきたが、
都市が我々の感覚を鈍感にしているとすれば、何か解決策はないだろうか。
吉岡(1989)が、その解決策の手がかりを与えてくれている。
彼は、人間の住める真の都市を
「単なる生活や仕事の場であるばかりでなく、
近代化のもたらす道徳的な美質(因習や偏見からの自由、異質な人々同士の対話と共存)の象徴的な表現」
を含むものとしている。
インターネットやユビキタス社会も結構であるが、
インターネットやユビキタス社会も結構であるが、
もう少しだけ目の前の事象や他社との直接的な対話を重視してもよいだろう。
さらに、自分の感覚を大事にし、直接的な体験を通して物事の本質に触れるべきだ。
現代の高速化社会において、いかに自分の位置を見失わないかが、
これからの課題になるだろう。
って、当たり前のことのようだけど難しいんだよね。
言われなくても分かってるって感じではある。
さらに、自分の感覚を大事にし、直接的な体験を通して物事の本質に触れるべきだ。
現代の高速化社会において、いかに自分の位置を見失わないかが、
これからの課題になるだろう。
って、当たり前のことのようだけど難しいんだよね。
言われなくても分かってるって感じではある。
[参考文献]
- 都市・記号の肖像/森 常治
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- 篠田浩一郎 1982 都市の記号論.青土社.pp241-.
吉岡洋 都市と近接性.日本記号学会(編)1989 都市・建築・コスモロジー(記号学研究9). 東海大学出版会.pp.57-68.