
道を歩いていて、手持ちの水筒が空になったらどうするだろうか?
当然、オアシスを探すだろう。
では、見渡す限り砂地の広大な砂漠の中で、どうやってオアシスを探せばいいのだろうか?
むやみに歩き回っては、脱水症状を起こしてしまう危険性がある。
しかし、ただじっと待っていても死ぬだけである。
砂漠でオアシスを見つける方法として、ハチを手がかりにすると有効な場合がある。
砂漠に生息するハチは、巣から5km以上離れることがなく常に水を必要とするので、
ハチを追いかければオアシスに辿り着ける可能性が高くなる。
しかし、広大な砂漠の中で小さいハチをどうやって見つければいいのか?
Don't think, feeeeeeeeeel !!
としかいいようがない。
アメリカのカラハリ砂漠のブッシュマンは、天体(太陽・月・星)の運行、風や川の流れ、
地形、植生や地面の状態、水場などを手がかりにしながら移動しているそうだ。
古来より人間は何らかの手がかりや目印を利用しながら移動してきた。
本来「迷う」ということは、死につながる危険性があった。
砂漠で迷えば、死ぬだけである。
暗い森の中で狩猟から帰れなくなれば、自分だけでなく妻や子どもの命も危険になる。
一方、現代人は現代的な生活の中で迷っても死に直結することはない。
しかも、地図・案内標識・GPS・カーナビ・携帯電話などのツールを巧みに使うため、
迷うこと自体も減ってきているのではないだろうか。
何らかの手がかりを利用しながら、未知の環境を目的地に向かって移動することを、
認知心理学や認知科学ではナヴィゲーションという。
ナヴィゲーションは、人間が日常的に行っている基本的な行動の1つである。
例えば、
テレビで魅力的なお店を紹介していたので、そこに地図などを手がかりに行ってみるという行動だ。
さて、私が道に迷ったら何をするかと考えてみる。
途方に暮れた後、とりあえず人に聞いてみる。
ただし、ここで注意が必要なのは、言語で道を案内するというのはとんでもなく難しいということだ。
例えば、「道に沿って」という言葉は、様々な解釈が可能である。
距離や方角で伝えられても、そもそも土地勘のない者には伝わりづらいものだ。
またも途方に暮れて、携帯電話に頼る。
車だったらカーナビまかせ。
人間って、やっぱり何かに頼って生きているんだと改めて考えさせられる。
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