先日、山田洋次監督 の講演会がありました。

題して、「映画を演出する」。

山田監督は、『男はつらいよ』シリーズ・『釣りバカ日誌』シリーズ・
『幸福の黄色いハンカチ』・『たそがれ清兵衛』・
『隠し剣 鬼の爪』・『武士の一分』などを手がけた監督です。

私としては、『学校』が好きだったりするわけです。

講演の内容としては、小津安二郎監督の『東京物語』を事前に観た学生に対して、
山田監督が質問を投げかけるという形式でした。

小津監督の映画における情景描写の細かさと情報の密度、
そして登場人物の微妙な表情から推し量れる感情の推移。

笠智衆が偉大な素人であるという見解。

なんて、Theory of mindなのでしょうか。


ん、ちょっと待て下さいよ、と。

私は山田洋次監督のことが知りたくて講演会に行ったはずなのに。
なぜに小津映画の解説をなさっているんですか、と。

学生への執拗なまでの誘導尋問に辟易していた私は、
途中で山田監督の仕草を丹念にメモることにシフトしました。

まず、指の節で机をはじく仕草と貧乏ゆすりが多く見られました。
そして、考え込むときの独特のポーズと笑い方に彼の個性が滲み出ていました。

彼が一度だけ、爪を噛む仕草をした瞬間を見逃しませんでした。
アムロ・レイでしょうか、カミーユ・ビダンでしょうか。

そして私は、一つの仮説を導き出しました。
そう、山田洋次監督はニュータイプなのではないかと。

あぁ、そうかと気づきます。

すべてはバイブレーションの世界だったのではないかと。
高い次元での共鳴や共感こそを、山田監督は求めていたのではないかと。

あぁ、山田監督の作品を解説して欲しかったなぁ。

隣に座っていた山田監督ファンだという老人と話していたのだが、彼も不満だったらしい。
アンケートの内容をちらっと見たら、
「一般向けの講演会ではなかったような気がする。授業中にやってくれ。」
みたいなことが書いてあって、少し笑ってしまいました。

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