移動の手段として高速バスを利用することが多い。
学生にとって、格安の高速バスは非常にありがたい。
しかし、である。
高速バスでは、様々な争いが巻き起こる。
まず、座席のリクライニングをどこまで倒せるかという戦いである。
これは、後部座席の人の領域を踏みにじり、空間を占有し、
いかに自分の領地を拡大するかという群雄割拠の戦国時代のような争いなのだ。
これに打ち勝たなければ睡眠が妨げられ、
後の活動に支障をきたす恐れがある。
1つには、後部座席の人に声を掛け、
ある程度の領域を拡大するという戦略がある。
しかし、これでは後部座席の人に気兼ねして、
限界まで座席を倒す事ができない。
人間は、いったん関係性を構築すると他人を意識してしまうものだからだ。
つまり、この戦略は協調的参入に等しい。
もう1つには、声を掛けずにいきなり限界まで倒すという戦略がある。
これは敵対的参入であり、自分の効用を最大にする事が可能である。
しかし、後ろの人が不快に思うことは免れない。
なお、敵対的参入をするが、後部座席の人のことを少々考慮して、
限界までは座席のリクライニングを倒さない戦略もある。
いわば、参入の折衷案である。
次の争いは、隣の人との領域争いである。
本来、座席の中央の肘掛は領域を区切るためのものである。
しかし、どちらが中央の肘掛に肘を掛けるかは、重要な問題であろう。
微妙な肘鉄合戦を繰り広げるのも有効だが、
一般的には早い者勝ちという暗黙のルールが存在する。
なぜなら、中央の肘掛は一人分のスペースしかないからだ。
中央の肘掛がないタイプの高速バスの場合、
どちらが座席のスペースをより多く確保できるかの争いは、熾烈を極める。
まさに、ミリ単位の争いであり、一瞬たりとも油断を許さない。
しかしながら、予想外のトラブルは、いつも発生する。
今回の移動では、車中で唯一いびきを掻く男が私の隣に座っていたのだ!
さりげなく肘でガスガスしてみるが、一向にいびきを止める気配がない。
こうなったら、忍法狸寝入り!
おかげ様で、約5時間の高速バスの移動中、ほとんど安眠できない状態であったとさ。
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