
山から吹き降ろす寒風 冬の季語
颪といえば比叡颪
黎明清き白雪の
比叡颪(おろし)を背に受けて
見よ享楽の岸に立つ
我が同志社に健児あれ
北原白秋作詞 山田耕筰作曲
同志社大学の逍遥歌です。
逍遥歌とは、逍遥、散歩しながら歌う歌、という意味合いなのだそうです。
私は同志社大学とは何の縁もないんですけど、
唯一、五番目の男の子として出生したことで、
七五三太と名付けられた新島襄が創設した英学校が大学になった年に
私の母が生まれた、ってくらいの、偶然というほども無い縁があります。
それで、今日はその母の誕生日です。
比叡颪はまた、長唄の月雪花名残文台の、浪枕月浅妻の中にも
小波や八十の湊に吹く風の
身に染み初むる比叡颪
千船百船の艪を立てて
入るや岸根の柳蔭
と、出て来ます。
私が一番その寒さを感じるのは、松岡正剛さんが作詞作曲した
比叡おろし
風は琵琶湖に落ちてくる
北山杉を下に見て
夕焼けはよそゆきマント
光る銀の靴をはいていたそうな
うちは比叡おろしですねん
あんさんの胸を
雪にしてしまいますえ
今日の横浜には丹沢颪が吹いていました。
丹沢卸が吹く頃になると、横浜の農家の庭先にも
真っ白な大根が行儀よく干されます。
空っ風に曝されて、しんなりすると、樽の中に漬けられて、
十二月の終わり頃には、いい頃合に漬かった沢庵を持った友人が訪ねて参ります。
西向く侍 十一月は小の月 冬の支度を急がねば、です。