城内に酒蔵を建て,約31種類ものお酒を造らせていた政宗公。
柳生但馬守宗矩(将軍家の剣術指南役)の紹介で,大和の榧森(かやのもり)の諸白屋又五郎という杜氏を「御城内定詰御酒御用」として招いています。
交流のあった柳生宗矩のところでごちそうになったお酒がおいしかったので,お酒ではなく杜氏ごとお取寄せしたようですね。
酒蔵があった場所は「清水門」の近くで,現在は仙台市博物館近くに宮城県酒造組合が建てた石碑があります。
どんなお酒をつくっていたのかというと,例えば
◆果実酒系
桑酒,葡萄酒,枇杷酒,みかん酒,楊梅(やまもも)酒,覆盆子(いちご)酒,龍眼酒(龍眼肉という果実を混成させた薬酒)
◆植物系
菊酒,シソ酒,梅酒,白梅酒,忍冬(にんどう=すいかづら)酒
◆おもしろ系
夏氷酒・・・氷室の氷を削って,甘いお酒をかけて食べる,いわばかき氷のようなお酒。
みぞれ酒・・・過冷却状態にしたお酒。注いだ瞬間シャーベット状に凍る姿はまるでみぞれ雪。
その他にも,泡盛酒,味醂(みりん)酒,砂糖泡盛酒,焼酎本なほし,南蛮酒,榧酒,疝気薬酒,白酒,豆琳酒,甘露酒,当座玉子酒,伊仁酒(いにしゅ),延齢固本酒などが作られていたそうです。
中には製造方法がわからなくなってしまった伝説のお酒「印籠酒」もあります。
粉末を印籠に入れて持ち歩き,熱湯を注いで飲んだそうです。
明治時代までは印籠酒が残っており,1升から2升のお酒ができたとか。