真っ暗で長い道
冷たい雨が頬を伝う
僕と雨の間に遮るものはなにもない
痛いほど強く降るこの雨を
僕は止める術を知らない
辛いほど続くこの雨から
逃げる傘を僕は持っていない
いつどこに置いてきたのかも
どこで手に入れるのかも忘れてしまった
他の人は僕が傘を持っているように見えているだろうか
他の人は僕が全く濡れていないように見えるだろうか
僕はちゃんと世界に追いつけているのだろうか
僕はちゃんと。
そんなことを巡らせてばかりいたら
いつのまにか手の中から傘が消えていた
ああ、
小さい頃は傘などささずに歩いた
唸るような大粒の雨だってどうってことなかったのに
今は小さな雨粒でさえ抉られるように痛い
いつからこんなに脆くなってしまったのか
僕は傘を持っていない。
