Dg先生が、もしかしたらデモに発展するかも用の音楽を持ってきた。
デモするという確証は、約束していない。
「聞いてみて」
と音楽を流し始めた先生。
ピアノ曲だ。
さて、私はディズニー音楽が嫌いだ。
いや、この言い方は語弊がある。
ディズニー音楽で踊りたくない。
理由はわからないが、団体レッスンなんかでディズニー音楽かかっても、まったく気分が上がらない。
だから、Dg先生にも、ディズニーは持ってこないで、と言ってあった。
ピアノのきれいな音楽が流れている。
それに合わせて、先生、なんか踊ってる。
スローとタンゴって言ってたな。
しかし、なんだか盛り上がらない曲だ。
ふと、音源である先生のiPhoneをのぞき込む。
音楽のジャケットが見えた。
こ、これは……。
音楽が終わって、先生戻ってきた。
「先生、これってもしかしてアニメの音楽?」
「うん!よくわかったね」
そっか~~~~~~~。
ほんの少し考えた後、
「ごめん。私これでは踊られへんわ」
と無残にも却下した。
私はこの曲で踊りたい!というのがない代わりに、あまりこれではどうにも踊れないというのも多くはない。
と言っておきながら、却下してしまったので、Dg先生はショックだったかも。
だけど、デモを視野にとなると、話は別なのだ。
先生が持ってきた曲は、たぶん主題歌とかではなく、BGM的に使用されていた音楽だったのではないかと思う。
だから、雰囲気は醸し出しているが、盛り上がりもなく、ただきれいな音楽が流れているだけ。
もちろんそれだって、悪くはないし、きれいなダンスを踊りたい人にはうってつけ。
だが、私は表現したい人。
感情やストーリー、二人の関係性が見えるものを踊りたい。
もちろん、音楽を表現する、っていうのでもいい。
でもその場合は、曲の雰囲気がいろいろ変わってくれないと。
最低でも、盛り上がりがあってくれないと。
私は、3分もただきれいになんて踊りたくないの。
曲の中で、先生タンゴも踊ってたけど、でもそれも、テンポがタンゴになったというだけで、曲調は全然変わってない。
きれいな音楽の中で、にこにこ笑ってタンゴを踊ることになりそう。
「私はこの音楽の中に、感情の変化やストーリーを読み取れない」
というと、
「ストーリーあるやん。起承転結あるやん」
と先生は言うのだが、ほな説明してみい。
私を説き伏せてみなはれ。
アニメを知ってる先生にしてみれば、音楽はその場面と直結してるのかもしれないけど、私にそれは通用しない。
しかも、ディズニーのようにたくさんの人が知ってる曲でもないから、見てる人の想像力に期待することも無理。
ということで、せっかく考えてくれたのに悪いけど、却下と相成ったわけ。
「ごめんね」というと、
「うん、いいよ」と言っていたけど、実は何気にショックだったらしい、と友達から聞いた。
すぐ立ち直ったようではあるけれど。
しかして、その後の会話で、ジブリだの演歌なんかも結構好きだの、そんな言葉が出てきたのを聞いて、一抹の不安が。
挙句、中国音楽は?とか言うから、「そういうのは他の人とやって!」と言ったら、「他の人とは無理だもん」って、私は何やねん?
私と先生、ダンスだけじゃなくて、音楽の好みも全く合わないんじゃなかろうか。
いやそれとも、単なるジェネレーションギャップか?
先生、引き続き探してくれているみたいだけど、次も却下することになったらどうしよう、と、こっちのほうが緊張してますわ。
一つじゃなくて、いくつか持ってくればいいのにね。
(それ全部却下になったら、それこそどうしよう、やけど)