私が個人レッスンを終えて、他の生徒さんに会うとよく言われる一言。
「あなたぐらい踊れたら、もう個人レッスンなんていらないでしょう?」
それは、ダンサーと言うものを知らないというものだ。
個人レッスンである必要があるかどうかは別にして、ダンサーと言うものは、ここまで踊れたら満足だ、と言うものではないと思う。
技術的にしても、表現的にしても、目指すところに限界はない。
と言うか、そもそも、ここまで行けば十分と言う目指すところなんて、あるんだろうか?
技術的には、例えば、ターンを3回転楽々できるようになりたいとか、そういった目標をその時々で持つことはあるだろう。
では、3回転できるようになったら、それで満足か?もうそれ以上やらなくていいか?と言われたら、たぶんそんなことはない。
また次の何かを求めて努力するんだ。
ダンサーは2度死ぬ。
と言われるが、死ぬというぐらいだから、ダンサーはダンスを辞めるとき、ここまでできたからもう十分と思って辞めるのではない。
肉体的な限界だとか、そういった理由で、仕方なく辞めていくのだ。
それに、たとえ世界の頂点に立ったようなダンサーであっても、チャンピオンになったからそれで満足か?と言われたら、そんなことでもないだろう。
もちろんそれを目標に頑張ってきたわけで、満足感はあるだろうが、だからと言って、全てのダンスを完ぺきに踊れたのかと言われれば、そんなことはないだろうし、チャンピオンになった時でさえ、あそこはもっとできた、あそこはこうしたほうが良かった、なんてことがあるに違いない。
あくまでも想像だが。
チャンピオンレベルでさえそうであるならば、私ごときのレベルでは、ちょっと他よりうまく踊れたからって満足できるわけがなく。
私に「もう十分でしょ」と言う人にとっては、私程度に踊れたらいいなあ、と思ってはるのかもしれないが、その人たちと同じように、私にも、あの人ぐらい踊れたらいいなあがあるわけで、到達できるかどうかにかかわらず、それ目指して進むしかないのである。
それに、ダンスは本当に生もので、その日によって出来が全然違ったりする。
上手くできて一喜する日もあれば、こないだできたのに今日は全然できなくて、一憂する日もある。
どんなに上手い人だって、バランスを崩すときもあるし、相手の手を取りそこなう日もある。
だからこそ、努力を惜しまず、ちょっとずつでも上手くなりたい、上手い人と対等に踊りたい、なんて思って、踊り続けるのかもしれない。
それにダンスのいい所は、肉体的に衰えて、難しいことができなくなってきたとしても、表現力を磨くことは、きっと死ぬまでできるのだ。
(そして沼化していく…)
だからきっと、要は、もうこれぐらいでいいやと言って諦めるか、諦めることなくどこまでも続く上を目指すか、という気持ちの違いだけなんだと思う。