私は実は、9.11の経験者です。
ニューヨークで。
前日には、ワールドトレードセンターの真下にいました。
あの後、すぐに、マンハッタンの橋やトンネルはすべて閉鎖され、マンハッタンは孤立状態。
そんなマンハッタンに住んでました。
その当時、私は、旅行業界でバイトしていたので、当日も日本からのお客様とホテルでつきっきり。
翌日から、お客様が出国できるように、航空会社との交渉に駆けずり回りました。
いろんな噂が飛び交い、何が本当なのか。
空港に行ってしまえば、飛行機に乗れるかも。
いや、行っても無理。
などなど、翻弄され。
結局お客様が、出国できるまで、1週間程度かかったかと思います。
その間、高いホテル代はすべてお客様の自腹でした。
でも当時は、お客様は、生きて帰れたことに、とにかく安堵されていたことと思います。
そして当時、その孤立したマンハッタンでは、またテロが起こると言った空気が蔓延していて。
地下鉄は危ない、外は危ない、と言った噂でもちきりでした。
たくさんの人が、恐怖心に包まれている、そんな空気でした。
そんな時、私がたまたま読んだ漫画に、こんな場面が出てきました。
内戦が日常的な、そんな場所でも、毎日、市場が立つ、と。
生活圏が戦場で、死と毎日隣り合わせの、そんな場所でも、人は普通に生活しているのだ、と。
それを読んだときに、「そうだ、外で何が起ころうとも、普通に生活するのが大切なんだ」って開眼した気持ちでした。
重苦しい空気の中でも、普通に生きて、話して、笑ってもいいんだって。
起こるかわからないことに、恐怖心で支配されてはいけないって。
そんな中、アメリカ人気質なのか、徐々に、
「テロなんかに負けない」
「恐怖心に支配されるのは、テロリストの思うつぼだ」
みたいな雰囲気が広がってきて、少しずつ、市民がたちなおっていきました。
テロと今回の感染問題とは、全然状況が違うと思われるかもしれませんが、根底は同じと思っています。
広がりを食い止めるための、最大の努力は必要でしょう。
出来ることはする。
出来ないことは心配しない。
恐怖心に支配されすぎないことが大事と思います。
9.11の時だって、できるだけ普通に生活できたんだから。