私が社交ダンスに出会うまで、踊ってきたダンスはすべて一人で踊るダンス。

自分が踊らなければ、誰かに踊らせてもらうなんてことはできない。

すべて自分の責任。

時に振付によっては、リフトとかもあるけれど、リフトされる立場だって、自分が何もしないわけじゃない。
自分のパートは自分でやらなければならない。
 
ある時、ある教室の団体クラスで、
「一人で踊るダンスと、相手と踊るダンス、どっちがいい?」
と先生に聞かれたことがあった。
 
その先生は社交ダンスだけしてきた先生だと思う。
社交ダンスはリードアンドフォローという、相手とのコミュニケーションが大事だし、社交ダンスをすることでその相手とコミュニケーションをとるということも学ぶことができる、という教えを大事にしている先生。
ただ踊るということ以上のことが学べるということを。
 
確かに、その部分は他のダンスとはとても違う部分だし、長年自分で自立して踊ってきた私にとっては、とても難しく、大いなる挑戦の部分だった。
どこまでを自分が担って、どこまでを相手にゆだねるのか。
 
そんな相手とのコミュニケーションの部分を大事に考える先生だったので、上の質問をされたとき、暗に「二人で踊るダンス、社交ダンスのほうが素晴らしい」と言ってほしいんだろうなと感じた。
それまでにも、こっちのダンスのほうが上級だと思われてるような気がすることが、時々あった。
その先生にとってはそうかもしれない。
でも私にとっては…?
 
「私には選べません。
どっちも楽しい。
一人で、自分で踊るのも、二人で踊るのも、違う楽しさ、良さがある。」
というのが私の答えだった。
 
たとえ各自が独立して踊っていたとしても、そんなダンサー達とグループで一つの作品を踊るのは、また全然違った楽しさがあるんだ。
みんなで一つの作品を表現するとき、素晴らしいエネルギーが行きかう。
肉体的に、社交ダンスみたいなリードアンドフォローはないけど、でもエネルギーのやり取りは確実にある。
周りの息吹を感じながら踊る。
だから私には一概にどちらがいいとか、どちらが上とか言う感覚はない。
 
一人で踊るを知っている身としては、社交ダンスをするときに、それが役に立つときもあるし、邪魔になるときもあると思う。
でもそれが、私にとっての社交ダンスをチャレンジングで、面白いものにしてくれているともいえる。
人生二度おいしい、みたいな?(笑)