この名画はゴヤが描いた『異端審問の法廷』です。

人間は自分と違う考えを持つ人や対立したり歯向かう人は『異端』と捉えるようです。

今のプーチンもそうだと思います。

文藝春秋の2013年8月号の「名画が語る西洋史」にこんな記事がありました。
(以下は、その記事の引用です)

ナポレオン軍はスペイン全土を蹂躙し、王家を追い出した。
だが、その後に新王としてやって来たホセ一世(ナポレオンの実兄ジョセフ・ボナパルト)はスペインを近代化すべく、真摯に政治改革に着手した。
時代遅れの『異端審問』も廃止する。

スペインは生まれ変わるかと思われたが、ナポレオンの勢力弱体化とともにホセ一世は僅か5年で亡命。
極端な揺り戻しがやって来る。

1814年、愚物のフェルナンド七世は返り咲くやいなや、旧体制も異端審判も復活させた。彼の考える異端には、自分がいない間フランスに味方した者や自由主義者たちもふくまれていた。

画中の被告たちは、罪の徴たる尖った三角帽を被らされ、火刑を示す炎の模様付きローブを着せられ両手を縛られ、うなだれている。
何と陰気な、胸の悪くなるような絵だろう。化け物屋敷の中で、彼らだけが人間らしく見える。

ゴヤの目にそう映ったのも無理はない。
ゴヤ自身が異端審問所の調査を受けたのが、ちょうどこの頃だった。
理由は「裸のマハ」を描いたのがバレたから。

妙なところで、「お堅い」スペインは、女性の裸体像が御法度だった。
その禁令を破ってヌードを描くとはどういうことかと槍玉に上げられたわけだ。

幸い擁護者がいたおかげで、三角帽を被らずにすんだものの、ひとつ間違えば自分も被告席に座っていた・・・
その思いがゴヤをしてこの絵を描かせたのだろう。
彼がスペインを見限るのも間もなくだ。


フェルナンド七世 (愚かな王様)


↑ゴヤが描いた怖い絵






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