前回からの続き。


30才位の男性に声をかけられ、時々情報交換をする仲になっていた。

と言っても、基本的に自分は一匹狼スタイルは変えていなかった。

とにかく、パチ屋の中で人間関係を作ることは望んでいないし、何より面倒くさいと思っていた。

言葉は悪いが、「パチ屋に来る人間はロクでもない奴が多い」という意識が尚更そうさせていた。


その男性とは、スクランブルのシマと、その背中のシマで一緒になることがしばしばあった。

スクランブルの背中にあったのは、同じ一般電役機の西陣の「ハニーフラッシュセブン」だ。



この台はスクランブルと確率は同じ1/200

出玉はスクランブルより少し少なく3000個程度だった。

ハニーフラッシュセブンはデジタルが揃ったら即右打ち。

電動チューリップの配置が特徴的。

この機種は嫌いではなかったのだが、出玉とデジタルが揃った時の快感がスクランブルの方が上で、こちらはあまり自分は打たなかった。


で・・・ある日、私はスクランブルその男性はハニーフラッシュセブンを打つ日があった。

私もその男性(面倒なのでAとする)も無制限札を獲得。

お昼も過ぎた頃、Aが食事休憩で店外へ出た。

知り合い・・というよりも顔見知りの私に「飯を食ってくる」と告げて、もちろん定員にも告げて出た。

私は手元に1箱からなかなか増えない状態で、Aは足元に一箱手元に一箱計二箱だった。

当時のコア21のドル箱は2種類で、ひとつは2500個箱もうひとつは4000個箱だった。

2500個箱が使われるのは、羽根物と出玉の少ないデジパチと権利物に限られ、大抵のシマでは4000個箱が使われていた。スクランブルとハニーフラッシュセブンのシマも同様。

Aの出玉は、食事休憩に出る頃で推定7000個位という感じだ。


Aが店外へ出てから、5分から10分位経った頃であろうか・・・・

見たことない男(これをBとする)が、Aの台に置いてあったドル箱二つを、迷いもせず、ツカツカと近寄ってひょいと持ち上げ持って行く様子を見た。

あまりにも自然だったので、知り合いに交換を頼んだのかな?くらいに思っていた。

ちなみに当時は、出玉を運んだり、ジェットカウンターに流したりするのは、客本人がやるのが当たり前の時代である。

大爆発して運ぶのが大変な時でも、客がわざわざ店員に頼まないと手伝ってくれることは少なかった。私が男だったからかもしれんが・・・・。

このブログに書いたが、私は店員のバイト経験があるが、玉を運んでやるのは基本的に女性しかしなかった。男性客は、頼まれればするというスタイル。女性客だったら、手が空いていれば一箱でも運んだ(笑)


話を戻すが、Aの台にあった出玉は、全部Bが持って行ってしまった。

恐らくジェットカウンターに流して交換しただろう。

そしてそれから約10分後にAが食事から戻ってきた・・・・

台に戻り、しばらく固まるA・・・・「玉がね~じゃね~か!!」

すぐに私に「どうなったか知ってるか!?」と訊いてきた。

この時、私は瞬時に「巻き込まれるのは御免」の気持ちが働いた。

私「知らない。自分の台に集中していた」と答えた。


それからは、Aの矛先は店員へ・・・

「防犯ビデオを見せろ!」「犯人を捕まえろ!!」と食ってかかる。

「今事務所で確認します・・・」等のやり取りが行われていたように思う。

幸い無制限札はそのままだったため、Aはまた同じ台に座って現金で打ち始めた。


なんとなく・・・自分はその場にいるのがイヤになった。

とにかく自分は関わりたくないという意識が強かった。

その時打っていたスクランブルは、あまりいい感じではなかったこともあって、自分は打つのをやめて帰った。

この事件がその後どうなったのかは知らない・・・おそらく出玉の補償はなかったであろう。

Aとはこの日以降も顔を合わせ、話す機会はあったのだが、お互いにこの日のことは一切触れなかった。


それにしても白昼堂々・・・泥棒はいるんだなと認識できた日だった。

自分はこの日以後、出玉のある状態での食事休憩はしないようになった。


次回は、この泥棒よりも衝撃的な出会いを書こうと思う。