ツインズのヒットを受け、次いでニューギンが投入したのが、3回権利物のトリプルエース



馬並の、ちょっとマニアック・パチンコ回顧録

ツインズとトリプルエースが、これから先の権利物の原型を作ったといえるかもしれない。

トリプルエースも「デジタル+役物」の二段階振り分けだが、役物による振り分けは“ないも同然”・・・というよりも、ツインズと同じ役物であった。

1回目の権利終了後は、あと2回権利を獲得するまでデジタルの確率が10倍にアップした。

しかし、このトリプルエースは初当たり確率が1/360と、当時の感覚からすると恐ろしく低いもので、なかなか当たらない印象が強い。


余談だが、私は当時のニューギンのハンドルが好きではなかった。

分かる人には分かると思うが、なんだかスカスカと軽く、ハンドルの固定もしにくいものだった。

上皿と下皿は大き目で好きだったのだが、このハンドルで長時間打つのは大変苦痛なものだった。


話を戻すと、これらのヒットを見て、三洋は革新的な権利物を投入した・・・「ニューヨーク」だ。



馬並の、ちょっとマニアック・パチンコ回顧録

ほぼツインズと同じゲーム性の2回権利物(確率1/220)だが、決定的に違うのは盤面右側にある回転体だ。

権利物のアタッカーは、デジパチと違い勝手には開かない。

アタッカーを開くためのチャッカーへの入賞があって初めて開くわけだが、この入賞口は、入賞があった分だけその権利を使う。

どういうことかというと、玉が立て続けに2個入った場合、アタッカーは1回しか開かないのに、権利は2回使うということ。

権利回数は1回の当たりで最大16回だが、16回アタッカーが開くとは限らないというものだった。

実際、16回フルに取れることは少なかった。


ニューヨークはアタッカーを開放させるためのチャッカーに回転体を付けることにより、回転体の穴があいている時にのみ入賞があり、それ以外の時は玉は回転体の上に貯留される状態になることにより、アタッカーをフルに16回開かせようとした初めての機種なのだ。

シンプルだが、このアイデアには驚いたものだったし、安心と感動があった。


しかし、まだニューヨークも完璧ではなかった。

回転体の切れ目と、入賞口が同じ位置にあったため、勢いよく玉がくっついてくれば、2個同時入賞してしまうことがあったのだ・・・回転体のない機種と比べるとはるかに少なくなったのだが・・・。

それを解消したのが、後継機の「来々軒」である。



馬並の、ちょっとマニアック・パチンコ回顧録

来々軒は、確率1/250、盤面下部の役物が羽根物を思わせるが、ゲーム性はニューヨークやツインズと同じ「デジタル+振り分けほぼ100%の役物」の2回権利物である。

ニューヨーク同様に、右側に回転体があるのだが、回転体の切れ目と、入賞口を離すことにより、重複入賞を完全に防ぐことができた。

来々軒の登場以降、このタイプの回転体付き権利物がスタンダードとなったのだ。


勝ち負けのことを論じると、権利物は、“いい台を見つければ”デジパチよりも勝ちやすかった。

理由はいくつかあるが、大きな理由は「通過式のスタートチャッカーが多かったこと」だ。

通過式のスタートチャッカーは、文字通り賞球がない。

一見客に不利なようだが、「ボーダーライン以上回る台であれば」賞球のある台よりも長時間打った時の儲け効率に格段の差が出たのだ。

なぜかというと、賞球のない台では、投資のスピードも速い。

賞球のある台が、1時間1万円使ったとして、賞球のない台は2万円使ったかもしれない。

ここで注目するのは、投資金額ではなくデジタルの回転数だ。

どちらも同じボーダー以上回る台ならば、賞球のない台の方が、投資が多くなる分単位時間で多くデジタルを回せる。

デジタル回転数が増えれば当然大当たりも増え、例のように、投資の差が2倍になれば、大当たり回数も2倍近くになることも十分にある。

特に持ち玉遊戯の状態になった時、この利点が生かせる。

等価交換でない限りは、持ち玉遊戯は打てば打つ程換金差分客に有利に働き、持ち玉遊戯の状態では、賞球の有無は問題ではなく、持ち玉でどれだけ回せるかがポイントになるからだ。


特に2回権利物は確率からも、安定した勝負ができた。

賞球がない機種は、一般には敬遠されがちだったので、台も選びやすく私は大好きだった。

ただし、回らない台を打った場合は、加速度的に負けが大きくなるのが権利物の辛いところであった・・・。


現在は、通過式のチャッカーが禁止されてしまい、権利物の存在意義がなくなり、いまやすっかり姿を消してしまった感じで・・・・非常に切ないものがある。

次回以降、また思い入れのある権利物を振り返っていこうと思う。