1990年に、パチンコに関する様々な規定の大幅改正が行われたのだが、今回はその中でも権利物について書きたい。


改正前までの権利物は、詳細は省くが様々な規制のおかげで大量出玉を実現することが難しく、もっぱらギャンブルというよりも遊ぶための存在であり、メーカーも当時主流だった一発台やデジパチ、羽根物を多く生産し、権利物の立場は非常に弱く、存在感も薄いものであった。


1990年の改正で、権利物の幅が非常に大きくなり、また大量出玉を実現することが可能になったため、急速に市民権を得るようになったのだ。

改正後の権利物の主な特徴は以下の通り・・・ただし、あくまで主流だった特徴に限定して書いている。


①デジタルでの振り分けが可能

②デジタル+役物での振り分けも可能

③権利終了後のデジタル確率変動が認められる

④デジタルのみの振り分けの場合、確率変動は5倍アップまで

⑤デジタル+役物の場合は、確率変動10倍アップまで

⑥アタッカー(大入賞口)の開放権利は権利1回につき最大16回

⑦確率変動により、2回または3回ワンセットにすることが可能

⑧デジパチと異なり、通過式のヘソチャッカーも認められる


細かくはもっとあるのだが、大体こんなところで、単純に、デジパチに近い遊び方で大量出玉を実現することが可能になったということだ。

1回の当たりで6000個近い出玉も可能ということで登場したのが平和のエポック



馬並の、ちょっとマニアック・パチンコ回顧録

しかし、この機種は最終的な権利獲得までに振り分けが多く、確率変動後に次の権利を得るために持ち玉を多く消費してしまい、6000個の出玉を実現することはほとんどなかった。


デジタルのみの振り分けの場合、1回目の権利終了後の確率変動は、5倍までしかアップしない。

安心感からか、初期にはデジタルのみの振り分け権利物もあったが、主流になったのは、「デジタル+役物」の振り分けで、役物の振り分けは実質ないも同然(玉が飛びさえすれば大丈夫というもの)という機種だ。

これだと、確率変動は10倍までアップさせることができ、次の権利を早めに獲得でき、安定した大量出玉を実現することが可能になるからだ。


90年改正後の初期の権利物人気機種は、ニューギンのツインズがある。



馬並の、ちょっとマニアック・パチンコ回顧録

2回ワンセットの権利物。デジタル+盤面上部の役物による2段階振り分けだったが、役物には玉が入りさえすれば権利を獲得できた。

デジタルの初当たり確率は1/280


権利物の特徴として、表面上のデジタル確率と、実際のデジタル確率との「差」がある。

規定がなかったので、見た目と実際とが大きくかけ離れているのがほとんどで、このツインズも表面上の確率は1/55で、実際とは5倍近い差があった。


当時のデジパチは、見た目と実際との確率に大きな隔たりがあってはならない(概ね±10%以内)という決まりがあったため、デジパチの場合は確率を知らなくても、見た目からおおよその確率を推測できたのだが権利物はそうもいかなかった。


しかし、デジパチもCR機からこの取り決めが撤廃されてしまった・・・。

長きに渡り、パチンコのデジタル式の機種の確率は、雑誌等で調べないと分からないという時代が続いたのだが、いつからだろうか・・・現在は盤面にひっそりと確率が表記されるようになっていった。