学生時代に付き合っていたあの人からメールがきた。
わたしは(とても薄情なことに)すっかりあの人のことを忘れていたのだが、
「相変わらず不健康です」の一言で、
色々思い出してしまったのだった。

高校3年生の冬だった。
あっさり5ヶ月で去っていった恋人。
保健体育の実技にどっぷりだった所為で、受験は大失敗。
しかし間違ったことをしていたなんて思ったことは一度もなかった。


それから数年たった昨日、
しかも丁度別れを告げられた日と同じ日のメール。何か図っているのかとすら思った。
文末には「よかったらまたお茶でもしたいです。今も同じ家に住んでいます」。


正直、ぐらっときた。
あの顔で、あの手で、あの声で、あの舌で迫られたら断れる気がしなかった。
1日中返信をするべきか、するならどう書くべきか考えて、こう返信した。




「メール有り難うございます。忙しいので遠慮しておきます。」




メールを送り終わるとなんだか一仕事終えたような気がして、妙にほっとした。
そしていつもの友人に電話をする。
-あいつからメールがきたよ
-うん、そう、セックスが一番上手かった男。
そういうと友人は笑った。
わたしは忍び笑いをした。


決別した。
ルーズソックスの呪縛から。
思い出のあの曲から。
最後のメールから。
そして、あの人から。
『ああ、強くなったなぁ。』