エルザは当時で40歳ちょっとと言っていた。
背は高く175cmはあるし、体型も、えっと・・・、かなり貫禄がある感じ・・・。
夫のリシャールはとても陽気なオジ様で、いつもジョークを言って周囲をなごませる人。
不動産関係の会社経営をしている。
一人娘のクリスティーナは、スイスにある全寮制のスクールに入ってるとのことで普段はほとんど
会えないんだとか・・・・。
そんな家庭に急遽「居候」させてもらうことになった私。
その時のフランス出張は、後で聞けばあまり重要な仕事ではなかったんだけど客先から「そのメーカー
に一人付けておけ!」というお達しがあったからであり、右も左もわからない新人の私に白羽の矢がたったワケ。
そのメーカーの製品が行き着くところはサウジアラビアだったんだけど、その膨大な数量の製品をフランスから
輸出するわけだから何かと手間がかかります。
ご承知のとおり日本人と違い、フランス人(てか日本人以外の人)はよく言うと仕事に対して「融通がききすぎ」
て、仕様書どおりでないものができても全然悪びれた様子もないし、納期が迫ってても平気で口笛吹いて
たりします・・・。
また通関に必要な船積み書類の不備も日常茶飯事で、後で思ってもみない港で「塩漬け」になってるのを
知り、愕然となったりします。
ですので、日本からTELやFAXでアレコレ指示するより、緊急時はもう直接訪問して、こっちで客先の
要望するとおりに製品管理したり書類作成したりするのです。
もちろんその費用は製品価格から相殺させてもらいますが・・・。
日中はその会社で、上記のような雑務をして成果を報告。
現場の人はほとんど英語を話さなかったので、打ち合わせ時はエルザがこまめに通訳として参加してくれて
事なきを得ました。
仕事を終えるとエルザといっしょに「帰宅」。
家政婦の人がひとりいて、家事はばっちりやってもらっていました。
で、夕食はエルザ夫婦、もといディザン夫妻(名字)と3人でいただきました。
2人とも私より相当体格がいいので、基本的に結構な量を摂られていましたが、食事中はその日の
出来事をお互い事細かに紹介し、楽しく意見を述べ合いますので必然的に長~くなります。
長~い時間食事するので、さらに食べてしまうようです。
お互いの話す話題の量が均等になるように、会話をこちらにふってくれ、私がそれなりにこたえると
「う~ん、なるほど、そ~かもね!」
という相づちをしてくれるのですが、ワインがすすむとリシャールは饒舌になり私の答えに対し
「ただ、オレは思うんだけど・・・」
とか
「それは違うよ、フランスでは・・・」
とたたみかけてきます。
さらに酔いが進むと完全にフランス語オンリ~、全っ然わかりませんでした。
そうなると、もうお開きが近いサイン。
エルザにうながされて食事終了・・・。
仕事もさることながら毎日の会話のタネに苦労してました。
というのも、日本人でありながら外国人に日本のことを聞かれてもあんまり知らないってことに
気がついたから・・・。
仕事だけでなく、人間、バランスが大事と思いました、あの時・・・。
・・・・・・・・・・・・。
機内アナウンスでもう間もなくシャルル・ド・ゴール空港に到着とのこと。
将来、旅行以外もう来ることがないと思っていたフランス、また仕事で、とはネ~。
そう思いつつ眼下に広がるパリの景色を見ていた。
つづく