[ 2005年4月16日公開 ]
海の事故で、首から下が不随となったラモン・サンペドロは、26年間をベッドの上で過ごし、その年、自ら命を絶つ決断をする。人権支援団体で働くジェネは、ラモンの死を合法にするため、弁護士のフリアの協力を仰ぐ。法廷へ出る準備を進め、ラモンの話を聞くうちに、フリアは強く彼に惹かれていった。ある日フリアは、ラモンの家で発作に倒れる。不治の病に冒されたフリアは、やがて自らも死を望み、ラモンの死を手伝う約束をする。

本作は、一生の半分をベッドの上で過ごし、自ら死を望んだ実在の人物、ラモン・サンペドロの手記をもとに描く真実のドラマ。今もなお、スペインでは法律で認められていない「尊厳死」をめぐり、生と死の意味を問いかける作品だ。顔以外に動かすことが出来ないうえ、実年齢より20歳以上も年上のラモンを演じることになったハビエル・バルデムは、その強い瞳と豊かな表情でラモンを演じきり、ゴヤ賞主演男優賞に輝いた。

監督のアレハンドロ・アメナーバルは、現代スペイン映画を代表する若手。ゴヤ賞では監督賞・脚本賞を受賞し、アメリカ、ゴールデン・グローブ賞では外国語映画賞を受賞している。スペイン北部、ガリシアの澄んだ海に、生きる目的や人を愛する意味、残される家族と友人たちの思いが果てしなく飛びかう、心に残る感動作。