中近東で無人偵察機が撮影した球形UAPの解析
NASAもAAROも未解決事件とした謎の球体!
限られた動画画像から、謎のままの球体UAPの実体に近づこうとした、
そのレポートである。 この動画 https://youtu.be/-3XORE0TWCE
高速飛行する謎の球体(赤矢印 参照:AARO Unclassified Footage from mission report: 7750816)
更新日2023年11月24日
宇宙現象観測所センター(SPOC) 北島 弘
監修:黒崎 明 宇宙現象観測所センター特別顧問、 元東京大学教授
宇宙現象観測所センター(SPOC) が撮影したUFO・UAP動画はこちら、https://www.youtube.com/channel/UCTqD750RqvlJ1Q0uYlDxSMQ/feed
上空を飛行する球体UAP(想像図 Powered by 画像生成AI)
米国国防総省発表のUAPビデオ。中近東の物体とは
2023年4月19水曜日午前、アメリカ上院軍事委員会にてUAPに関する公聴会にて米国国防総省のAARO(全領域異常解決局)から公開された映像は中東で遠隔操縦航空機(RPA) MQ-9 Remotely Piloted Aircraft (RPA) MQ-9が撮影したもので、AAROによると物体は依然として未確認のまま。この映像は、AAROに寄せられる多くの事例同様、解明するための十分な関連するデータが限られている。これらのケースは、解決につながる追加情報が発見されるまで、AAROのアクティブアーカイブに保管と決まった。
これについては、NASAの公開会議の場でも紹介された。2023年5月31日(水)未確認異常現象(UAP)のデータの分類と評価に関する独立研究チームの公開ミーティングが開催された。
公開されている球体UAPの動画はこちら。
Unclassified Footage from mission report: 7750816 12 July 22 2156Z
Middle East UAP
https://www.armed-services.senate.gov/imo/media/video/Middle%20East%20UAP.mp4
知的制御を思わせる左右にドリフトしながら飛行する球体
その軌道を分析すると、ただ真っ直ぐ飛行しているわけではない。何らかの知的な制御を伴っていると思わせるのだ。小刻みなカーブを伴う飛行航跡が認められた。風に乗った球形の風船とか気球ではなく、自立飛行していると思われる。しかし不思議なことに球体外部にまったく駆動機構が認められないことだ。
ビデオから判明していること
画面の左右や画面上の数か所がマスキングされている。これは撮影データやその他国防総省が機密とした部分がマスキングされていると考えられる。したがって当時のMQ-9の飛行高度、対気速度、ズーム率などは機密として非公開になっている。
参考:非公開マスキングされていない通常のビデオの例
MQ-9 による撮影ではないが、GIMBALと呼ばれるビデオ。F/A-18から撮影。このような各種データが記録されている。
(参照: https://www.navair.navy.mil/foia/documents GIMBAL.wmv)
オリジナル画像ではこのようなパラメータが常に記録されていると容易に想像できる。これらの情報が公開されればもっと詳細の分析が可能なのだが。
撮影された場所の特定につながるヒントがあった
丹羽氏(Kz.UFO現象調査会主宰)からの情報で、米国中央軍から公開されたシリアで実施された攻撃と題された2022年7月12日のプレスリリースが存在した。そこには、シリア北西部のジンダイリスの外でUAS 攻撃を実施したとあった。(UAS=unmanned aerial strike=無人空中攻撃)
もしこの作戦中に偶然撮影されたとすれば、撮影場所はシリア北西部のジンダイリス郊外という可能性がある。 UAPの動画の撮影日は12 July 22(2022 年 7 月 12 日)で同日である。
この辺りは2023年2月に発生したイラクシリア大地震として知られる場所で、大きな被害が出たという。
参照:プレスリリースhttps://www.centcom.mil/MEDIA/PRESS-RELEASES/Press-Release-View/Article/3089938/strike-conducted-in-syria/RELEASE
PRESS RELEASE | July 12, 2022 Strike conducted in Syria,U.S. Central Command Public Affairs July 12, 2022 Release Number 20220712-01
ここが事件現場と思われるシリア北西部のジンダイリス(参照 GoogleEarth)
球体UAPの公開動画は、
画面の大きさは1280x720ピクセル この解像度はHD(ハイビジョン)で0.9メガピクセル(92万1600画素)の画像。高精細テレビなどで利用される規格だ。
公開されたのは長さ742フレーム。1フレームは3/100秒。 公開時間はトータルで 22.26秒である。
北の方角は右下方向でほぼ一定である。 UAPは北北東方向へ進んでいることがわかる。一直線ではなく、蛇行しているように見える。 速度もほぼ一定と考えられる。 不思議なことに飛行の為のプロペラや回転翼や翼などの既知の駆動機構などが球体外部に認められない。又、排気ガスや噴出ガスも認められない。
飛行航跡の謎
この動画の各フレームに映っている球体UAPの飛行航跡がこれだ。
公開球体動画に映っている謎の球体の飛行航跡を展開した図。公開ビデオから描いた球体UAPの飛行航跡 (黄色線)
これを見るとわかるように、左右に軌道を変化しながら飛行している。風の影響ではない。
UAPはまるで建物を避けるように軌道を変えているようにも見える。 もっと急峻な(例えば直角)カーブでないのは慣性の法則には従っているということだろうか。慣性法則に従って飛行するUAPも存在する証拠の世界初の事例と言えるかもしれない。
カーブの後、もとの進路に戻ることが認められ、UAPは何かに導かれるように北北東方向へと進んでいるのだ。 これは現在の地球の北磁極方向と一致する。 この球体UAPは磁力線の方向に沿って飛行していたとも考えられる。この考えは昔から存在するが証明されてはいない。今回はこれも世界初の証拠の一つになる可能性はあるのではないだろうか。
球体UAPの特性を探る
この球体UAPの高度や速度などを知りたいと考えたが、問題はその検証に必要な各種パラメータがマスキングの為に十分ではないのだ。 なお静止した球体が空中にじっと浮いていて、MQ-9の移動に伴い球体が見かけで動いている場合も検証したが、それでは説明できない。
そこで以下の情報を前提条件として使用する。
・AARO発表のUAPの特性から球体の直径を1mとする。
・動画に映っている人物の伸長を180㎝とする。
・人物の頭の大きさ(頭長:頭の前から後ろまで)を20㎝とする。
UAPの飛行高度
高さ解析の為の画像解析手法1:
このUAPの高度を求めるために最初に検討したのは、地上に存在する可能性のある影である。 UAPの影が画面上に存在する可能性を探った。 Fig.0参照。
Fig.0
動画の、どのフレームにも球体UAPの影が確認できないのでフレームの外に影はあると考えた。そうすると球体UAPの高度は計算の結果38m以上となる。 画面上でマスキングされてる場所に影が有るのかもしれないが公開されている動画には、どのフレームにも影は認められなかった。 ということで影の位置がわからないので、この手法では高度の範囲が広すぎ、その為あまりにも誤差が大きすぎると思われる。
もちろん現象として影が見えない理由はいくつかある。
一般的に高度と影のぼやけ方や影が薄くなる現象の関係は存在する。また、ぼやけには物体の端を太陽光が通る時に曲がる「光の回折」という現象も影響を及ぼすことはよく知られている。またある程度の速度で移動する場合もその影をビデオやカメラなどに捉えにくい場合もある。視覚的にも追いにくくなる場合もある。高速で動く球体の影をキャッチするためには、もっと高いフレームレートと高解像度のカメラが必要なのかもしれない。
そこで別な手法も試みる。
高さ解析の為の画像解析手法2:
(参照:AARO Unclassified Footage from mission report: 7750816)
拡大画像上での測定値パラメータとして、
・AARO発表のUAPの特性から球体の直径1m ≈ 65ピクセル
・動画に映っている人物の伸長を180㎝
・人物の頭の大きさ(頭長:前後の長さ)20㎝ ≈ 20ピクセル
この三つの条件から検証を行う。
ここで使用する解析手法は、一般的に使用される手法で、「二機の大きさの異なる飛行機が映っている画像で両方の飛行機の大きさがわかっており、片方の飛行機の高度がわかっている場合、もう片方の飛行機の高度を計算するためには、次の手順を使用できる。」というものである。飛行機の大きさの比較: 両方の飛行機の大きさを知っている場合、それらの大きさの比率を使用して、高度を計算できる。具体的には、
物体の実際の大きさを知る:飛行機の場合、翼幅や全長などを測定することで得られる。画像上での物体の大きさを測定: 画像上で物体の大きさをピクセル単位で測定する。ピクセルあたりの距離を計算: 物体の実際の大きさを、画像上でのピクセル数で割ることによって、ピクセルあたりの距離を計算する。具体的な計算式は以下の通り。
ピクセルあたりの距離(単位:メートル/ピクセル) = 物体の実際の大きさ(単位:メートル) / 画像上での物体の大きさ(単位:ピクセル)
これにより、ピクセルあたりの距離が計算され、これを利用して画像内の他の物体の距離や高度を推定できる。ただし、正確な計算には物体の実際の大きさと画像内の物体のピクセル数を正確に測定する必要がある。そうでなければ誤差が大きくなる。
このことから、
地上高1.8m(h1)の直径0.2m(a1)の物体Aの大きさが画像上で20ピクセル数だった時に、地上高H1mの直径1.0メートル(du1)の物体Bの大きさが画像上で65ピクセル数だった。 これらの事から物体Bの実際の地上高H1を求める。 Fig.1参照。
Fig.1
球体UAPの直径1mの場合。
1/65ピクセル=0.0154m(1ピクセルあたり)
人物の頭の大きさ0.2m(a1)で20ピクセル。0.2/20ピクセル=0.01m(1ピクセルあたり)
H1/1.8=0.0154/0.01 H1=1.8 x0.0154/0.01 H1=2.7m
球体UAPの直径1mの場合は地上からの高度2.7mとなる。
(参照:AARO Unclassified Footage from mission report: 7750816)
動画中で一か所家を飛び越えるシーンがある。高度2.7mのままだとぶつかってしまうおそれがあるが、なんとこのシーンの高度を再計算すると、高度が5.16mに変化し飛び越えていることがわかる。低い高さなのに球体UAPの影は前述の説明でカメラでは捉えられていない。 これほどの低高度を直径1mの銀色の球体がかなりのスピードで飛行しているのに地上の人は誰も気がついている様子が無いのには違和感がある。 ここで行った計算は基準としたのが粗い画像の人の頭の大きさや身長を使ったのでその為、誤差がかなり大きくなったのかもしれない。実際はもっと高い場所を飛行している可能性がある。
そこで、もう一つ別な手法で検討する。Fig2. 参照。
高さ解析の為の画像解析手法3:
Fig2. 画角から計算
ここで、HmはMQ-9 の当時の飛行高度。 Huは地上からUAPまでの高さ。
θuapはUAPの画角。 DuapはUAPの直径。 Upは画像上でのUAPのピクセル数。θavは全体の画角。 Avpは画面全体のピクセル数。
MQ-9 のMTS-B カメラシステムの7種類ある視野角のどれで撮影したかは非公開である。そこで視野角が0.47 x 0.63 の望遠カラーカメラで撮影されたものと仮定する。
(参照:AARO Unclassified Footage from mission report: 7750816)
この動画のAvpは857ピクセル数。 Upは8ピクセル数。 θavは視野角から0.79。
Hmは巡航高度の7600mとする。
0.79 / 857 = θuap / 8 θuap = (0.79 x 8) / 857
θuap = 0.0074
(Hm - Hu) = Duap / tanθ
今回は巡航高度の7600m及びAARO発表の最も多いUAPの直径から1mとする。
(Hm - Hu) = 1m / tanθ
(Hm - Hu) = 7742m
Hu = Hm - 7742m
7600m - 7742m = 142m
ということで、UAPの高度は142mとなる。
MQ-9 の高度を仮定条件に加える手法はもう一つある。
高さ解析の為の画像解析手法4:
もう一つ、 MQ-9の飛行高度を仮に設定した場合の手法も試みる。
黒崎氏(元東大教授)からの提案「手法としてピクセル比で計算するのは正しいと思われる。 別な手法としてMQ-9 の高度を仮定条件に加えることでも、UAPの高度が計算できる」 を受けて、 その手法で計算したのがこれだ。Fig.3参照。
Fig.3
運用高度: 7,600m (Hm)とすると、人の身長は誤差として無視してもいい。 この条件の場合の計算は、
1m/7600m=0.65/(7600m-Hu)
Hu=7600-0.65x7600 Hu=2660m
したがってUAPの高度(Hu)は2600mとなる。
以上の手法を再評価し,まとめるとこうなる。
・高さ解析の為の画像解析手法1は、影の位置が不明あるいは影が録画されていないので、高度の範囲が広すぎあまりにも誤差が大きくなってしまう。
・高さ解析の為の画像解析手法2は、低高度を直径1mの銀色の球体がかなりのスピードで飛行しているのに誰も気がついていないのは違和感がある。 また基準とした粗い画像の頭の大きさや身長を使ったので誤差が大きくなった可能性がある。
・高さ解析の為の画像解析手法3は、MQ-9 の飛行高度とMQ-9 のカメラの画角が公表されていないのでこの2つを仮定条件としたが、どの画角を採用するかにより、画角の範囲が非常に幅広くなる。
・高さ解析の為の画像解析手法4は、MQ-9 の飛行高度が公表されていないのでそれだけを仮定条件とした。
ということで手法4が最も少ない仮定条件であるので総合的に確度は高いといえるのではないかと評価される。
飛行スピードの計算
飛行スピード = 移動距離÷経過時間 で計算できるので
UAPの対地スピードは、30フレームで326ピクセル移動したことから、計算すると時速151㎞となる。
この値が正しいか比較の為に同じ計算手法で画像に映っている道路を走るバイクの速さを計算すると、時速38㎞となる。
適切な速さと思われるのでこの計算手法で評価できる。
(参照:AARO Unclassified Footage from mission report: 7750816)
中央右寄り道路上にバイクが映り込んでいる。この速さを測定計算した。
当時の風力と風向を調べる
UAP動画撮影日12 July 22(2022 年 7 月 12 日)お昼ごろのシリア北西部のジンダイリス郊外で吹いていた風は、西の風 5.83m/s (21km/h)だった。(協力提供:丹羽氏(Kz.UFO現象調査会主宰 ))
UAPは強い西の風の中を北北東方向へ進んでいることからおよそ110度風に逆らって飛行している。 風船では不可能だ。
このことから風に乗った風船とかゴミなどではなかったことが証明された。風に逆らって自立で飛行していたことがわかる。
今回は公表されている動画だけで解析したわけだが、不思議なメタル状の球体UAPは、かなりの高速で空中を風に逆らって飛行していたことが分かった。 しかもなんらの駆動装置も球体外部に確認することはできなかったのだ。 回転翼もプロペラもドローンの特徴も認められなかった。あるいはロケットやジェットエンジンなどのような噴出ガスや排気ガスもまったく認められなかった。 ただの気象現象や自然現象とは考えられない。
したがって、 世界の各地で回収されたとされるいわゆる墜落UFOをもとに長年リバースエンジニアリングして得られたテクノロジーで作られた、知られていない最高機密の秘密兵器か、あるいは地球人以外の何者かが作ったものではないかという可能性も十分考えられる。AAROが、最も多く目撃されているUAPの形状が球体と発表したことから、宇宙人が作った観測用の球体ドローンなのかもしれない。 実際、宇宙現象観測所センター(SPOC)の自動観測撮影装置ロボットSID-1®の記録動画にも球体型UAPは多いのだ。
https://www.youtube.com/channel/UCTqD750RqvlJ1Q0uYlDxSMQ/feed
参考: MQ-9 Remotely Piloted Aircraft (RPA)
最高高度: 15,200m (50,000 ft)
運用高度: 7,600m (25,000 ft)
最高速度: 482 km/h (300 mph, 260 knots)
(参照:General Atomics Aeronautical)
ジェネラルアトミック社の偵察ドローンMQ-9には複数の高性能センサーやカメラが搭載されているがその中の一つMTS-B カメラシステムは、
RS-170A NTSCビデオ信号及びデジタル出力
・視野角は最大広角で34x45,最大望遠で0.08x0.11のレンジ内で7種類ある。 今回撮影されたモードは非公開である。 (参照: Raytheon MTS-B Data Sheet_032805)
今回公開された動画は、画面の大きさ1280x720の解像度で粗い。
撮影の長さ742フレーム 1フレームは3/100秒 撮影時間24秒である。画面上に表示されている高度や速度などの各種のパラメータは残念ながらマスキングされている。