最近は、以前読んだ本を再読する機会が多い。
というか、ときどき、集中して再読期に充てることがあるんですが、今がその時期かなぁ。
そうして、かつて読んだ小説やエッセイ、思想書などを読み返してみると、細かな内容はまったく覚えていないんだなぁ、とあらためて思うし、
読み返すことによってようやくにして、逆にこまかなことに気が付くようになる。再読することで初めて、最初の時には読み飛ばしていたり、見逃していたような細部にまで目が行き、あるいは微妙なる表現の部分までジックリと理解しながら読む、なんてことが出来るようになるのではあるまいか。
などとも思ったりして。
いちばん最初に読む時というのは、未知の島に上陸して、初めて見たり聞いたりする驚き、というのはあるのかもしれないけれど、見るもの聴くもの皆はじめてなものばかりなので、実は細かなところはそんなには見れていない。
だからあとになってみると、おおざっぱな記憶しか残っていない。もう一度訪れて、最初からゆっくりと同じコースを歩いてみたら、最初の時には見逃していたような様々なことに気づき、新発見や、新たなる驚きを感じつつ、いっそう深く観察が出来るのではあるまいか。
読書における再読、再再読の効果というのもこれに似て、一度だけ読んだだけではわかっていない、見逃していた部分にあらためて気づく。最初の時にも感銘を受けた箇所であっても、再読した際の再確認の感銘は、細部への理解をも伴った一層深い理解と感銘を与えてくれるものかもしれません。
大まかなコースをだいたいわかっている、一度最後まで踏破した道なので、今度の散策はある意味、心に余裕がある、全体像をある程度は理解した上での再読となる。だからこそ、細部にまで目を向かせる余裕があったり、じっくりと考えながら読んだりといった、そうした読み方が出来るようになるのだと思いますね。
一度しか読んでいない本というのは、まだまだわかっているとはとても言えない、そんな読書にすぎなかったんだな。良き本というのは、何度も何度も読み返して、深く心に染み入らせて読む必要があるのだな。そうして、人生において出会える大切な本、自分にとって大切な本というのは、本当に絞ってみたら、ごくわずかの数の本にしか過ぎないのかもなー。その冊数は100とか200とか、いったいどのくらいかわかりませんが、自分にとってのかけがえのない本、ベスト書籍というのはそんなには無いのかもしれない。
むしろ、そうした人生の重要書をこそ、しばしば再読して、よく心に熏習させて学びなおすことが大切なのかも。