― 息子を亡くしてから色々と不思議なことが起こってきたので、

   備忘録としても少しずつ残していこうと思います。―

 

 

もちろん殆ど眠れなかった。

その前日も睡眠時間がかなり短かったのに。

 

朝、外飼いの犬に餌をやる。

ドッグフードを手に勝手口を開けると、何にも知らないはずの犬は

私を見て、表の庭の方に走って行ってしまった。

 

この犬は当時4歳前後のメスのビーグル雑種で、娘が1歳の時に

引き取った元保護犬である。

長所は底抜けの陽気さと人懐っこさ。

短所は吠え声の大きさと空気の読めなさ、幼稚さ。

 

普段は勝手口を開けると、嬉しそうにクゥンクゥンと喉を鳴らして跳ねるのに、

何かを追いかけたのだろうか?

それとも、何かに怯えたのだろうか?

 

私も相当酷い顔をしていたのだと思うけれど、後にも先にもこんなことは

無かったように記憶している。

犬は、私の見えない何かが見えるのかな。

私の聞こえない何かが聞こえるのかな。

喋れたら、教えて欲しい。