このブログを書き始めたころ、なぜか幼いころの記憶を書き始めた。
すると、まるでタイムトラベルをしてるようにいろいろなことを想いだしてとても楽しめた。
普段思い出すこともない 小学生の頃の友達や 遊んだ場所 住んでた家
思いだすことはなくても それらは確かに 心の中に生きているということが わかる。
楽しいことだけじゃなく 悲しいこともあったと思うけど、思い出のヴェールに包まれると すべてはなつかしい記憶になって甦る。
家族の記憶、学校の記憶
それも決していいことばかりじゃないけど、6人もの大家族に属していたこと、いつも(毎朝)にぎやかな教室にでかけていたということがちょっと不思議な気がする。
学校では四季折々いろいろな行事がある。
7月には教室に大きな笹があらわれた。
小学校4年生の頃 七夕に短冊をつけるとき みんなで願い事を書いた。
僕は いそいそとそこに 『夏休みに 四国へ行けますように』 と書いた。
意地悪なクラスメートの男子がさっそく 「四国へ行って何するの~~ひゅーひゅー」と ひやかしてきたので、僕は爪で思い切り二の腕をひっかいて瞬殺してやった(過剰防衛)。彼はすぐに静かになった。
デフォルトの通常兵器として 僕はよく 「爪」 を使っていた。
とりあえず、全力でひっかくと ほぼほぼみなすぐに戦意を喪失する。
いきなりのマジ切れな反撃に冷やかした男子は ドン引きしていた。
カイジ並みのざわざわと、こいつ・・・わけわからん・・・的な空気が教室に漂っていた気がする。
しかし、僕がそこまで怒るのには理由もあった。
四国へ行く・・・というのは僕の中である種神聖な願望だったのだ。
3歳の頃 僕は母親に連れられて 愛媛の宇和島へ行った。
母の友人とその二人の子供たちもいた。
僕はそこで初めて海を見た。
そして・・・・その雄大さに感動した・・・かもしれないが、、、実は海のことはほとんど記憶にない。
ただ覚えているのは 旅館の窓から見た空が曇っていて 「台風が来る」と母が教えてくれたこと。
何かそれにドキドキしたこと。
カフェテラスの珈琲の匂い、、、
帰りに熱を出したこと
などしかない。
しかしそれ以後ずっと その旅行の記憶は とても楽しかった旅として 僕の心にファイリングされていたのだろう。
そして7年後のある日 「もうどうしても、今年こそは、四国へまた行きたい」という強い願望として 甦ってきたのだった。
そんな7年越しの夢を馬鹿にするのは許せん!!→→→ 必殺の爪で血祭じゃ!という流れだったのだろうと思う。
だから 短冊に書いたあと 母にも自分としてはずいぶんしつこくお願いした。
「夏休みに 四国行こ 四国」と何度も言った。
でもその願いは結局かなえられなかった。
父と母は共働きで いつも忙しく 夏は母の実家に車で帰省することになっている。
高速を3時間ほど走って、加古川の祖父母のうちに行く。そこで一泊か二泊する。
帰り道 僕は父の運転する車のバックシートの窓から空を見上げ ずっとついてくる星を見ていた。
夏の旅行と言えば 主に それだけで、僕のイレギュラーな願い事が聞き入れられる余地はなかった。
「あかん、あかん」と比較的簡単にスルーされた。
頼めば叶えられると期待していた 僕はずいぶんがっかりした。
クラスメートをひっかく程 行きたかったというのに・・・
今となっては 自分ですら なぜあの夏に 四国に行きたかったのか よくわからない。
海が見たかったからなのか、3歳の頃の楽しさや安心感を取り戻したいと思ったのか 今となってはわからない。
でもきっと10歳には10歳なりの理由が、必要性があったのだろう。
それから8年たって、僕は四国の大学に入学した。
別に10歳の頃の願望を引きずり、四国に行きたかったからではない。
入試科目とレベルが自分にちょうど合っていたというだけだ。少なくとも表面的には。
宇和島の近くではなかったけど、自転車で小一時間走ると、きれいな真っ青な太平洋が いつでも見れる場所だった。
2回生の夏、両親、弟たちが遊びに来た。
みんなで竜馬の像が建つ浜辺に遊びに行った。
「あの海 本当にきれいやったわ」と母は今でもたまに口にする。
3歳の頃海を見せてくれた母に 今度は僕が 海を見せたことになるのだろうか。
もしかしたら、四国の大学へ行ったことも何もかも あの3歳の時にした夏の旅の続きだったのだろうか。
僕は今でも楽しみなイベントの前に熱を出す癖がある。
旅と発熱がどこかで結びついてしまってるのだろうか。
先に楽しいことがあると、それが体調不良でぶち壊しにならないか、どこかで気にしている。
積乱雲の向こう側へ向かう 夏の旅。
それは 今でもまだ続いているのかもしれないと思う。
子供たちの小さな願いをたくさんつけて揺れる笹の葉と、潮の香り。
高速のヘッドライトとテールライトの連なる光。
遥か過去にあった何かに憧れて 僕は前へ進んでゆく。