晩夏に先走ってひとり夜長

明けたのは南中の頃だった・・・

掃いて捨てられた先の世界-南中の夜明け


南中の夜明け



目薬とカフェインで碧い夢を殺す

映る影に茫然と想念を溶かし

無心の時を刻む鼓動に酔いしれた


かつて希望と名付けた朝陽には

近付いてくれるなと一瞥をくれる


なおも止まないこの呼吸が

いまいましくも訴えている


生きている

生きている

お前はまだ生きている


後付けに過ぎない理由を意味を

欲しがったのは追憶の年頃

当然与えられるものではなかった


内から主張する声の重圧が増し

ずぶずぶと沈んでゆく生体


贅沢だ わがままだ 弱虫だ

他人の不運に思い知る幸運も

気休めにしてしまう非道


真っ向勝負に勝ち目はないと

なおも抜け道を求めている

何を競っていたのだろう


時計の音と鼓動のずれが

ピタリと合った瞬間に

日は高く昇り詰めていた


目をこじ開けて仰いだ空は高く

引き寄せられて立ちあがる


秋の気配を連れた疾風に

さらわれていった独りよがり







うまくやろうと取り繕った

試す手段が尽きてから気付く・・・



掃いて捨てられた先の世界-言葉もでない



言葉もでない


合理的に突き進む巧みさを売りに
策を練り練りこねくり回す

原型を失い投げられた難解
手ほどきなしには読み解けず

ああ そういえば君に向け
狙いに狙った洗練は
元来の僕を置き去りに
君の身体をすり抜けた

僕が君に惹かれたように
打算と無縁の一途が放つ
目が眩むほどの輝きが
小細工要らずの伝達力

名分にこだわり疲れ
四つん這いの僕の背に
はらりと落ちた木の葉が重い

風に舞った去り際に
遅くない 遅くない と
ふわり頭を撫でていく

影が君の手に似ていた




吸い込んだ熱気が冷めても

胸が熱い・・・

燃え尽きないかたまり

何度でも火花を散らす



  掃いて捨てられた先の世界-永住不変



永住不変



夏の盛りに歓喜の群衆

花火が残した白煙が

言い足りないとくすぶった


夜陰に燃え尽きた充足感

期待は次へと譲った終幕


散る美学をかなぐり捨てて

我を忘れて食い下がりたい


こうありたいと願う形が

胸の中で息衝いてから


すべては朽ちていくものと

リミットばかり追っていた


見誤っていたんだな


劣化知らずのかたまりが

揺さぶり起こす摩擦熱


涙に負けない火種に火花

色鮮やかに打ち上がる