晴れて付き合うことになった私たち。

 


毎日が楽しくて仕方なかった。


授業中はしょっちゅう目を合わせてにやにやしていたし

メールでは毎日のように

「大好きだよ♡」とか

「ずっと一緒にいようね♡」とか

そんな甘い言葉を送りあっていた。
 

 

はたから見たら

ちょっと痛いカップルだったと思う。笑


1月のある日の帰り道。
 

 

彼が私にネックレスをプレゼントしてくれた。
 

 

突然のプレゼントに驚いていると
「1ヶ月遅れの誕生日プレゼントだよ」

と言ってくれた。

 


その日は

私の誕生日のちょうど1ヶ月後の日だった。
 

 

幸せで満たされていた私に

彼はそっとキスをしてくれた。
 

 

私にとってそれは

”ファーストキス”だった。


ファーストキスは

レモン味?とかイチゴ味?とかよく言うけど

実際にそういう味がするわけではないんだなあと思った記憶がある。笑


彼は野球部だったので

朝も昼も放課後も、ほぼ毎日練習があった。
 

 

だから、なかなか遊びに行く時間を作ることができなかったのだけど

そんな彼の貴重なオフの日に一緒に居られる時間がとても幸せで

何より彼氏彼女として過ごせるということがとても嬉しかった。


そんなこんなでラブラブな毎日を過ごしていた私たちであったが

3月になってある問題が発生した。


それはクラス替えだった。
 

 

高3になると

クラスは受験のコース別で分けられる。

 

 

国立文系クラス

私立文系クラス

そして理系クラスだ。
 

 

私と彼は2人とも私立文系であったのだけど

私立文系は一番人数が多いので2クラスに展開される。


彼と私は選択科目までも一緒だったので

同じクラスになれる可能性は十分にあったが

カップルはクラスを別々にされるらしいという噂があった。

 


私たちの交際は先生たちにも知られていたため

もしかしたらクラスが別々になるかもしれない

という不安に駆られていた。


ただでさえ

彼は部活が忙しくてなかなか遊ぶことができないのに

そのうえクラスまで離れてしまったら

会えない時間が増えてしまう、、

 


そう考えただけで

私はもう寂しくて寂しくて仕方なかった。


クラス替え発表の日。

 


恐れていた通り

彼と私は別々のクラスになってしまった。
 

 

落ち込む私を彼は優しく慰めてくれた。


クラスが離れてしまったため

5月に行われた体育祭でも私たちは別々の団で戦うこととなり

敵同士になった。
 

 

彼は体育祭で、団長をつとめることになった。

 


団長をはじめとして
体育祭を引っ張っていく役割を担う人を”幹部”と呼ぶのだが
体育祭の準備期間中は”幹部会”と称した集まりが何度かあった。


「今日は幹部会があるから一緒に帰れない、ごめん」
「幹部のみんなと話し合いでご飯に行ってくる」

 

 

一緒に過ごせない時間が増えるたびに
私の中で寂しさが募っていた。
 
 
迎えた体育祭当日。
 
 
彼は空いた時間のほとんどを私との時間に費やしてくれて
私が寂しい思いをしないようにしてくれた。
 
 
だけど、1つだけ悲しいことがあった。
 
 
それは
体育祭のメインイベントの1つである
団長同士の騎馬戦だった。
 

敵の団にいた私は
彼を全力で応援することができなかった。
 

しかも結果は彼の負け。
 
 
落ち込む彼のそばに一番に寄り添ってあげたかったのに
それをしてあげることができなかった。
 
 
私はとても複雑な気持ちだった。
 

閉会式。
 

それぞれの団長には
全校生徒の前でスピーチをする時間が用意されていた。
 

彼はそのスピーチの最後
私の顔を見ながら
「大切な人の支えがなければ、今日この日を迎えることはできませんでした。」
と言ってくれた。


私は涙が止まらなかった。
 

体育祭が終わって
彼はすぐに私の元へ来て強く抱きしめてくれた。
 
 
「今日までたくさん寂しい思いをさせてごめんね。」と。
 
 
私は彼の胸の中で
ずっと堪えていた涙をたくさん流した。
 
 
やっぱり彼を好きになってよかった。
そう強く思った。