いよいよ,「タロットの歴史」の紹介も最後になります。
今回は,小アルカナの個々の札に込められた寓意を探っていきたいと思います。
なお,図柄はいずれもウェイト版で,解説も「タロットの歴史」から該当箇所を抜粋してご紹介します。
ウェイト版タロットは,19世紀後半からのオカルティズムを色濃く反映しています。
『タロットの歴史 Part2』でも触れましたが,生命の樹にタロットカードの大アルカナ22種と小アルカナの数字札(1~10)が対応しているとして,タロット占いの解釈に用いられます。
生命の樹は,エデンの園の中央にある樹とされ,それにユダヤ神秘思想の独特の解釈を加えたものが以下の図になります。
(画像はこちらのサイト様から拝借しました)
1・2・3は「神性界」で神性が流出した最もピュアな性質を表しています。
『至高の三角形』とも言われています。
4・5・6は「創造界」で,ピュアな精神が個性(感情)と思考により徐々に具体化していく段階と考えられます。
ちなみに上図の女教皇のパスの裏にある点線の丸は,「ダート」と呼ばれ隠れた要素で「知識・神の真意」を表します。
7・8・9・10は「形成界」で,創造界で徐々に具体化してきたものが,いよいよしっかりした形を持つ段階で,物質界とも言われます。
10は,神性を神性界に流出させる,つまり10から1へと循環すると考えられています。
以上を前提に,小アルカナを見ていきましょう。
【ACE】
生命の樹の天球「王冠」に対応し,生命の根源的な力がイメージされています。
【2】
生命の樹の天球「理解」に対応し,地上の均衡は取れるが人智の及ばない段階がイメージされています。
【3】
生命の樹の天球「知恵」に対応し,地上における人間の停滞,節目がイメージされています。
【4】
生命の樹の天球「慈愛」に対応しており,地上の安定がイメージされています。
【5】
生命の樹の天球「峻厳」に対応し,地上が荒れる段階,闘争がイメージされます。
【6】
生命の樹の天球「神の美」に対応しており,地上における美しき調和がイメージされています。
なお,カバラの生命の樹では6が中心にあたり,対応する惑星は太陽で,もっとも重要な数字・位置となります。
【7】
生命の樹の天球「勝利」に対応しており,人の欲望に根ざした行為が地上に災いをもたらす段階をイメージしております。
【8】
生命の樹の天球「栄光」に対応しており,晴れやかではないが,人智を発揮することによる物事の解決がイメージされています。
【9】
生命の樹の天球「基礎」に対応しており,10の最終段階の一歩手前,非常に不安定な段階をイメージしています。
【10】
生命の樹の天球「王国」に対応しており,俗世・サイクルの最終段階・現実をイメージしています。
【ペイジ】
生命の樹において,人間の肉体,五感,統合力を司る「活動界」に対応し,少年あるいは若い女性的な4タイプの小姓が描かれています。
【ナイト】
生命の樹において,人間の理知,思考を司る「形成界」に対応し,若い男性的な4タイプの騎士が描かれています。
【クイーン】
生命の樹において,人間の心,感情・情動を司る「創造界」に対応し,女性性の豊かな4タイプの女王が描かれています。
【キング】
生命の樹において,人間の根源的なエネルギー,生命力を司る「流出界」に対応し,男性原理に根ざした強力な存在として4タイプの王が描かれています。