今回は,第14のアルカナ,節制をご紹介しましょう。
早速,タロットカード「節制」の意味からご説明します。
【正位置】
・ 調和,自制,節度,献身
【逆位置】
・ 浪費,消耗,生活の乱れ
このカードも,過去記事でお話した,四枢要徳の一つ「節制」を擬人化して表しています。
【ヴィスコンティ版の節制】
全ての版に共通する要素は,右手の水差しから左手の杯に水を注ぐ女性像です。
これは,酒に水を注ぎアルコール濃度を薄めるという,聖書の写本の挿絵に由来するものです。
そこから,怒りの炎を消す,あるいは適度な度合いを保つといった意味になります。
また,2つの異なる液体を混ぜ合わせるといった錬金術につながるイメージもこのカードに込められています。
【マルセイユ版の節制】
マルセイユ版の節制は,女性の肉体を持つ天使として描かれています。
古い聖書の写本に描かれる天使は,頭だけの姿にそこから羽が生えた姿で描かれます,気持ち悪いですね(笑)。
頭だけ天使の参考画像…
(画像はこちらのサイトから拝借)
5世紀ころから人間のフォルムに背中から羽が生えた格好になります。
特に1200年代以降は裸童型,1400年代には女性型の天使が主流になります。
【ウェイト版の節制】
ウェイト版の節制は,自然の素材の組み合わせ・混合により万物が生み出されるといった,この世の摂理を体現しています。
マルセイユ版の節制に描かれた天使は,明らかに女性でしたが,ウェイト版節制の天使は性別不明な中性的雰囲気を持っており,また,片足を泉に,もう一方の足を大地につけ,地と水の融合を示唆しています。
そのような自然の摂理を具現化する天使の背後には光が差し,見る者に神々しさ・超越的能力の存在を喚起させます。