今日は,大アルカナの7番目,戦車・チャリオットをご紹介しましょう。
このタロットの意味は以下のとおりです。
【正位置】
・ 勝利,征服,援軍,行動力,成功,積極力,
突進力,開拓精神,独立・解放,体力無限大,
負けず嫌い,視野の拡大,ゾーンの発動,
優勢,自己暗示。
【逆位置】
・ 暴走,不注意,自分勝手,失敗,独断力,
傍若無人,焦り,挫折,イライラ,視野の縮小,
好戦的,劣勢,無知。
チャリオットは,二頭立ての馬車であり,荷台部分に御者を乗せて戦う古代世界の最強兵器の一つでした。
これを最初に戦争に用いたのはヒッタイトと言われており,ヒッタイトはこの戦車を用いた戦術で中東世界を席巻しました。
ギリシアでは,スポーツ競技として二輪戦車のレースが非常に盛んに行われていました。
【ヴィスコンティ版の戦車】
(画像はWikipediaから拝借)
ヴィスコンティ版に描かれた戦車は,天蓋付きの白馬の馬車で最高級のものですね。
ギリシア・ローマ神話では,白馬が引く戦車は太陽神の乗り物として描かれています。
【マルセイユ版の戦車】
(画像はこちらのサイト様から拝借)
マルセイユ版の戦車は,凱旋パレードの様子を構図にしたものです。
御者の甲冑の方には半月があしらわれています。
月は女性性を表し,感情の起伏が激しく気まぐれで涙もろい,そのような御者の性質を表している,とのこと。
また,2世紀のローマ帝国で流行した,2頭の獅子に引かれた馬車に乗る月の女神キュベレーに着想を得たのかもしれません。
【ウェイト版の戦車】
(画像はWikipediaから拝借)
ウェイト版の戦車は,見事なまでにエジプト化されていますね,馬がスフィンクスになってる(笑)。
スフィンクスは,人面獣身で,動物の身体能力を持ちつつ知力は人間といった,いいとこ取りの理想的な生物です。
また,同様に,人間の理性の下には獣の本能が潜在していることのたとえとも考えられています。
この,人間の知性と獣の本能の両輪をうまくバランスさせることが人生という道をまっすぐスピーディに走るコツなんでしょう。
また,ユダヤ的なモチーフとしては,鎧の胸元にある白い四角形が挙げられますね。
古代ユダヤの高僧は,ウリム(光・優越性)とトンミム(完成・完全性)という神の意志を問うための2つの石を裁きの胸当ての中に入れていました。