ダニエル・デフォーの「ペスト」を読んでいきます。

 

 アルベール・カミュも「ペスト」という小説を書いていますが,ダニエル・デフォーの「ペスト」は

ノンフィクション,と言っていいでしょう。

 

 ダニエル・デフォーは,1660年から1731年の人で,彼の著書「ペスト」は1665年のロン

ドンが舞台となっています(から,伝聞をもとに書かれていることとなります)。

 デフォーは,この本よりも,『ロビンソン・クルーソーの冒険』の著者として有名ですね。

 

 著書の紹介に入る前に,この時代のイギリスの歴史を簡単に振り返りましょう。

 

 1603年  エリザベス1世死去,スコットランドからステュアート家のジェームズ1世を迎える

 1628年  英国議会が権利の請願を提出するも,チャールズ1世はこれを無視。

         ~ 国王と議会の対立が続く ~

 1642年  議会派の指導者クロムウェルが武装蜂起(ピューリタン革命)

 1649年  チャールズ1世が処刑され,共和制に移行

          ~ クロムウェルのアイルランド・スコットランド侵攻,独裁化

 1651年  航海法を制定(貿易上の自国船優遇,オランダ排除)

 1652年  英蘭戦争勃発

 1660年  クロムウェル死去,チャールズ2世を国王に(王政復古)

 1673年  カトリック復活を図る国王に反発し,議会は審査法・人身保護法を制定

 1688年  議会は国王を追放し,ジェームズ2世の娘メアリとオランダ総督ウィレムに権利

        の宣言を認めさせたうえで国王に迎える(名誉革命)。

 

 ということで,クロムウェル後の王政復古の時代,議会と国王が対立している,そんなロンドンを舞台に『ペスト』が書かれています。