この年の正月の詔勅は,前年に起きた『橘奈良麻呂の乱』に関わった臣下に対し寛大な処置を下すので,一層忠節を尽くすよう述べるところから始まる。

 

ただ,やっぱり怖かったんだろうね~,2月20日の条で,孝謙天皇は詔勅で

 ○皇族・貴族以下の者は,祭祀と病気治療を除き,飲酒を禁じる

 ○親戚・知人が互いを訪問するときは所属の官司に許可を得よ

と飲酒集会を禁じ,違反者に対しては厳しい刑罰が課されていることから,かなり橘奈良麻呂の乱を引きずっていたようです。

 ○五位以上 ・・・ 1年間封禄を停止

 ○六位以下 ・・・ 解職

 ○庶民    ・・・ 杖打ちの刑(80回)

 

2月27日の条で,大和国城下郡の神山(みわやま)で,奇妙な藤の木が見つかったと報告があった。

どんな藤かというと,虫がその木の根っこを食って『王大則井天下人此内任大平臣守昊命』と彫り出したと。

これはどんな意味か。

『臣下が天下を守り,王の大きな法則に心を合わせている。内政をこの人に任せれば,天命は太平であろう』

そして,それは藤の木に掘られていたから,つまり

『藤原仲麻呂に内相を任せれば世の中が平和になるであろう』

ということ。

 

誰がこんなもん信じるんだよ,と現代の感覚では思いますが,これに孝謙天皇いたく感激しちゃって,

 ・ 大和国の今年の調を免除し,

 ・ 大和国城下郡の郡司は位階を1段昇進させ,

 ・ 当該藤の木を見つけた者は従六位下を授け,絹織物などの褒美を下賜

しちゃいます。