薄銀夢小説 -2ページ目

──原田 side


鈴は極度の人見知りだ思った


愛華、冬夜、柚子季以外の者は目を合わす事は殆どない


愛華の様子を見に行って、居間へと向かおうとした時


鈴と通り過ぎたが、鈴がすべり俺も反射的に支えてしまった


その時に一瞬目が合ったが、すぐに逸らされてしまった


屯所に来たのが昨年の秋ごろ、今は六月


約七ヶ月が過ぎたというのに、目すら合わせないとは本当に人見知りだとは思ってた


さっきまではな…


浪士との時、あいつは怖がっていた、と言うより怯えていた。何かに…


気になってしかたなく俺は、愛華へとたずねる為に部屋へと来た


『愛華…入るぜ』


「待て、俺が出る」

俺と鈴を会わせたくない…てか

障子を開け、愛華が出てきた

「何?」

『話がある』

「…お前の部屋行くぞ」
そう言って愛華は俺の部屋へと行ってしまう

──原田の部屋

「んで何?」

愛華は壁にもたれるように俺と対面する

『鈴は…「その事は話さねぇから」

分かっていたのか、俺がこの事を話すのを…

「鈴に聞いたりなんかしたら…殺すよ?」

それほど聞いてはならない事らしい

愛華の瞳には若干殺気がある

『俺は…あいつを助けたい』

「直球だな。鈴に惚れたか?」

『え?』

「え?じゃねぇよ、馬鹿が」

俺が?鈴に?いやなんでだ?

『愛華。俺は鈴に惚れたっていう言動はしたか?』

「抱きしめた」

『あれは鈴を落ち着かせる為だ』

「あれで鈴がお前に惚れたらどう責任取るんだ?」

『……』

「振ったりしたら…殺すから」
愛華はゆっくり腰を浮かし立ち上がる

「けじめは自分で付けろ」

『……』

愛華は障子を開け、部屋から出て行った

鈴はどうして…あんな人見知りなのだろうか

「あ、あの…」

突然障子から声が聞こえた

障子から透けて見える光は橙で、夕刻だと察した

それに今の声は…


『鈴、か?』

「…そうです」

『どうした』

「少し話があるんですが…時間いいですか?」

『あぁ』

短く返事をすると障子が開き鈴の姿が見える

『で、話ってなんだ?』
鈴が畳の上へと正座をし、俺が問う

「巡察の時、ご迷惑をかけました…」
そう言って、頭を下げる

『別にお前が大丈夫だったからいいが…』

「気に…なりますか?」

『………あぁ』

「話ます…。これは、他言無用でお願いいたします」

「鈴、いいの?」

突然後ろのほうから声が聞こえる

後ろを振り向くと、布団を閉まっているところに柚子季と冬夜がいた

「ゆ、柚子季ちゃん!冬夜ちゃん!」

『何してんだ、ここで?』

「えへへ~、ちょっと探索みたいな」

「すみません、原田さん。止めたのですが…」

『いや、別にみられて困るものはねぇからいいが…』

驚きはしたが…気配が全然感じかれなかった

愛華は気づいていたかは分からない

そのような素振りはしてないからだ

「鈴。もう一度聞きます。原田さんに言ってもいいのですか?」

「……っ」

『鈴。いいんだ、言わなくても』

「でも気になってるんじゃ…!」

『言いたくなければいいんだよ。女が無理してんじゃねぇ』

「大丈夫です…。決心はしています」

「んじゃあたし達は出るね」

二人は俺の部屋から出ていく

今度こそ二人きりとなった

鈴は先ほどから、ずっと俯いている

『やっぱり…「大丈夫です、言えます。自分でも…」


鈴が顔を上げ、俺の目を見る


障子は太陽の光で透け、鈴の線に流れている

それに俺は見とれた

──そして

「きゃ…」

俺は無意識に鈴を正面から抱きしめていた

「は、原田さん?」

『わ、わりぃ…!』

こんなとこ、愛華にみられたら殺されている

俺はすぐに体を離す


「い、いえ、大丈夫です…」

光のせいなのかは分からないが、少し鈴の頬が赤く染まっている様に見えた

そしてまた俯く


「い、言いますね」