思わぬ所では、人を滑って転ばせたバナナの皮、
常習犯は、料理の度に切ったら涙を出させるタマネギ、
刑の軽い奴は年頃の子の顔にニキビの原因になるピーナツやチョコレート。
それぞれは大したこと無い罪なので、二・三日もすれば釈放された。
いろんな奴がいるもんだと感心したそうだ。
そこに、ふといい匂いがした。見ると、アセビの木が牢屋の中でひっそりと咲いていた。
「あんたは、なんで、ここにいるんだ」と聞いたら、
「わたしは山に咲くアセビの木。わたしを馬や鹿が食べると、毒が回って酔っぱらったようになってしまうのです。
罪のない馬や鹿をそんな目に遭わせるなどととんでもない奴だ、とここに連れてこられました」
淋しげなアセビの木に、じいさんは心惹かれた。
「どれくらい、ここにいるんだ」
「もう、かれこれ10年・・・・・」
「そいつは長いな」
「お山に帰りたいです」
「そうだろうな」
「あの、また、お話しに来てくれます?ここでは、人恋しくてしようがないの」
「ああ。またな」
じいさんは手を振ってアセビと別れた。
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