御馳走☆デリシャス☆恋童話-ねえちゃん1


最近、ねえちゃん、変だよなあ。


うんうん。


掃除してても、洗濯してても、目がキラキラしちゃって。


テストで悪い点取っても怒らないし。



御馳走☆デリシャス☆恋童話-ねえちゃん2



「そりゃあ、おまえ、ねえちゃんもお年頃ってことよ」


芽キャベツ50兄弟で、一番おませな子が言いました。


「横綱・かぼちゃ山のことで、頭がいっぱいなのさ」


「ねえちゃんの、かぼちゃ山ファンは、今に始まったことじゃないじゃないか」


「ふふ、わかってないなあ。この前、初めてあって、ファンから恋人になったのさ」


「恋人!?」


御馳走☆デリシャス☆恋童話-ねえちゃん3




「だとしたら、どうなるの?」


「そりゃあ、ねえちゃんはオレたちのかあちゃんじゃないからな。もし、横綱がねえちゃんを好きになれば、お嫁に行くってことになるかもしれないよな」






ねえちゃん・・・・・・








いやだ!!








御馳走☆デリシャス☆恋童話-ねえちゃん5






ねえちゃんがお嫁に行くなんて





オレたちを置いて、横綱と結婚するなんて






じゃあ、オレたちはどうでもいいのかよ






ねえちゃん・・・、






「ねえちゃん!」



御馳走☆デリシャス☆恋童話-ねえちゃん





キラキラした顔・・・・・・。






嬉しそうで、うきうきして、きれいで・・・・・









ねえちゃんなんか、きらいだ!








オレは、家を飛び出した。




裏切られた気がした。





もう、家になんか帰らない







陽が落ちて、とっぷり暗くなっても帰りたくなかった。











どれくらい時間がたったのか、オレは公園でそのまま眠ってしまった。








それから、真夜中ごろに、ねえちゃんに見つかった。





すごくものものしい声がして、大変なことになっているのがわかった。








今頃になって、自分のしたことがやりすぎな事だと痛烈に感じた。






「こんな所で、何してるんだい!」





雷のようなねえちゃんの声。真っ赤な目。






叩かれる!







反射的に身をすくませると、ねえちゃんは、叩くかわりにオレを抱きしめて大声で泣き出した。





「この子は、この子は」






オレが、近所迷惑になるんじゃないかと心配になるくらい、わあわあ泣いた。





ねえちゃん。ごめん。




ほんとに、ごめん・・・。





御馳走☆デリシャス☆恋童話-ねえちゃん4

























いつものように、忙しい朝が来た。


ねえちゃんはオレたち50人兄弟の朝ご飯を支度しながら「早く食べて学校行きな」とせわしなく動いている。








ドアを開けて、オレは言った。



「あのさあ、オレ、いいよ」


「えっ?なにが?」


「・・・・兄貴が横綱なんて、ちょっとカッコイイじゃん」



ねえちゃんはきょとんとすると、赤くなって「こらーっ」と言った。



さあ、今日もホームラン、打つぞ!




御馳走☆デリシャス☆恋童話-ねえちゃん6




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