昨日、上野東京都美術館で開催されている
デ・キリコ展覧会に行ってきました。

 

 

いい感じに、脳に揺さぶりをかけられた感覚です。

 

東京都美術館8月29日(木曜日)まで





デ・キリコの絵は、そこにあるはずのないものが置かれていたり
古代のモチーフと現代のモチーフが同じ画面に描かれていたり
遠近法が無視されていたりと
鑑賞者を不安定な気持ちにさせます。



その不安定な心の揺らぎが
見るものの確固たる現実感を無くし、
思考を混乱させます。
現実と非現実の間の境界が曖昧になってくるように感じます。




今あなたが持っている理性とは
本当に信頼できるものなのか。
社会状況の変化で簡単に変容してしまうのではないか。



作品からの問いかけで、
自己の存在の不確かさを知ることになります。



決して心地よくは無いけれど、デ・キリコの作品の前に立って居ると

絵を見ているようで、自分の心の中を見ている感覚になります。
絵を通して自分と対話をするように迫ってくる気がするのです。


この謎をあなたは解けるのか、と。



彼のキュービズム的な画面構成からは
今、信じている現実など簡単に再構築出来る。との
メッセージを感じました。



アートに接することの快感のひとつは、
作品から意識の変容を迫られたり
現実の捉え方を変えられたりと、
作品に対峙する前と後では
違う立ち位置から世界を眺められます。



私達の脳が、理解出来ないものを一生懸命答えを出そうとします
自分の意識のレイヤーがずれる快楽を味わえます。



これからの変化の時代に向けて、
固定しがちな思考を柔らかくしてくれる
装置としてとても有効なのです。



気温も高くなり、蜃気楼のようなもう一つの幻想的な世界へ向かってみると、新たな世界の見方の発見があるかも知れません。