たばこの煙はあなただけでなく、周りの人が肺がん、心筋梗塞など虚血性心疾患、脳卒中になる危険性も高めます。
そんなこと書いていいの?吸い手が居なくなるぞ?
そう思いながらA男はタバコに火をつけ、発生した煙をタバコのフィルター越しに ひと吸い。
外は生憎の大雨である。幸いだったのは喫煙所は灰皿もあるし、人2分ぐらいなら十分に収まるスペース、そして屋根もあった。
だがA男の心の中にも悲しみの雨が降りしきる。
そう、それはつい1時間前のこと。A男はB美にフラれたのである。タバコが原因で。
A男視点・・・
フラれてしまった。
B美に「一緒にいる時はタバコ吸わないでって言ったじゃん!私はタバコなんてものは吸わないし、タバコの匂いも嫌いだし、A男この前 「もー今から禁煙する」って言ってたじゃない!それも守れない人ともう付き合ってられない!別れましょう。」
と今までに溜まりに溜まった不満を告げられて彼女は去っていってしまった。
いきなりであったのも、それが図星である事も相まって彼女を引き止めることはできなかった。
彼女の住んでいる町はここから電車で2駅ほど離れた場所にある。
今なら間に合うかな。これまでの事は謝って、許して貰えるように努めよう。でもB美も悪い所はあるじゃないか。
付き合った頃は「A男のタバコ吸っている姿がかっこいい」とか「このタバコの匂い好き」とか。おだてるようなことも言っていたじゃないか。
それからだっけか…タバコをよく吸うようになったのは…
思い出したら怒りにも悲しみにも捉えることができる感情が湧いてきたので慌ててA男は頭を振り、そんな感情を無理やりかき消す。
「あー、モヤモヤする。もう一本タバコを吸ってから考えるか。」
B美視点・・・
彼女は駅のホームで自宅のある最寄りの駅に向かう電車が来るのを待っている間、電車に乗っている最中、駅から家路につくまでの道のり、家についてからも泣いていた。
ある程度声は殺していたが、人目をはばからずに泣き続けた。これだけ人目を気にせずに泣いていたのはいつ以来だろうか。
買って欲しいおもちゃを母親に買って欲しい の一心で頼み続けたのに「また今度」で済まされた時以来だろうか…。
悲しみで溢れかえっている最中にもそんな思考は出るんだと我ながら、そして泣きながら驚いていた。
A男がタバコなんてものを吸うから。そりゃ付き合ってた初めの頃は吸っている姿もカッコよかったし、A男のことも好きだった。でも…メッキが剥がれていくように、好きというものは次第に剥がれていって、ついには「嫌い」というむき出しの感情だけになった。他にもダメだな〜とか嫌だな〜っていう所もあったけれど、吸わないでって。「俺も吸わないよ」って言ってくれてたあのタバコを吸って、吸っているところを見て私の「嫌い」という感情が爆発した。
なんでこんな事になるかな…別れるために付き合うなんてことは当然ない訳だけれど、いつかこうなってしまうのでは無いかという危機感がついに現実になってしまった。
溢れ出る涙を拭うティッシュやハンカチをキッチンや衣類箱に取りにいくのもおっくうだったものあり、自分の服の袖で涙を拭う。その瞬間、自分の服に残っていたタバコの匂いが鼻を刺激した。
その事もあって涙はさらに溢れかえる一方なのであった。外は雨が自分の心象風景を写しとったかのように雨が降り注ぐ。
〜その後 A男〜
A男は走りだした。
今まで散々迷惑をかけてすまなかったと。その一言だけでも彼女に伝えなければならない。別に許してもらおうなんて一変たりとも思っちゃいない。ただ一言だけ話がしたい。あんな別れ方では嫌だ。
その思いだけがA男を突き動かしていた。雨は依然として降り続けているがそんなことは関係ないといったようにA男は自分の感じ取った使命感につき動かされ走る。
だが、20代も中頃に差し掛かったA男はすぐにその場に立ち尽くした。
あれ?こんなに体力なかったっけ…?あぁ、あれか、タバコってたしか呼吸器も弱ったりとか運動、特に持久力が落ちるって学校か何かでそーいえば聞いたことあるなぁ…しまった…タバコさえ吸っていなければこんな事には…。
たばこの煙はあなただけでなく、周りの人が肺がん、心筋梗塞など虚血性心疾患、脳卒中になる危険性も高めます。そして、あなたの身の回りの誰かを傷つけてしまう危険性があります。
終