全体にカビの生えた留袖がきました。

しばらく箪笥を開けずに放置していたらしく見事にカビだらけに

なってしまってますw(゚o゚)w

救いなのはカビによる変色や退色がなかったことです。

なのでカビの菌糸を抹殺するだけでよさそうです(;^_^A


京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~


まずはアルコールの入った石油溶剤で生地上の水分を
なくしながら消毒していきます。


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溶剤の圧力と脱水作用、アルコールの消毒作用で
カビの菌糸を破壊、除去していきます。

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きれいになりました(^○^)
変色がなくてよかったです。

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このままではまだ隠れているカビがありますので
カビの胞子を・・・

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アイロンの蒸気で加熱殺菌していきます。

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変・退色していなければお家でもかんたんにカビ取りができます。
これくらいのものなら・・・


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霧吹きで軽く湿らして・・・・


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アイロンの蒸気を当てて生地上を約60度以上に
加熱蒸ししてやります。


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熱をかけることにより菌糸や胞子は死滅します。

生地上の菌糸も水分と加熱により浸透圧が促進され

破裂し、無くなります。

きれいに無くなりましたv(‐^▽^‐)v

ただ注意しなければいけないのは

絶対にアイロンを生地につけないでください!!

あくまで蒸気でカビを蒸して殺すだけなので・・。

アイロンをくっつけるとテカリや変色、下手をすると

焦げてしまう可能性もありますので

絶対にアイロンを生地につけないでください!!


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あとは比翼の襟が汚れていたので水洗まで

サービスでしておきました(^○^)

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黄色に変色しているのは薬品を使用しないといけないので

そこまでは行いません。

洗剤を塗って水で洗っていきます。


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ドライヤーで乾かしてカビ落しは完了です!!

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ブログでこうやって載せると結構かんたんそうに見えてしまいますね(;^_^A


実際作業にかかった時間は比翼の水洗までで一週間かかってます。


着物全体にカビがあるので

左袖→右袖→右胸→下前身頃→左胸→上前身頃

→右後ろ身頃→左後ろ身頃→襟→比翼の襟と袖口

とパーツ、パーツでの分割作業をしていきました。

こうやって分割して作業していくのはその部位に集中して作業を進めていくのと

蒸気を使用するのでその部位を完全に乾かして次の作業に行かないと

しわや縮みが起こったりカビの転移の原因になったりするからです。


こうやって大袈裟に書くと大変そうでしょ!!(‐^▽^‐)


理論がわかっていて経験があればその中で要領を生かして作業できます(^○^)


それでも時間短縮させるのに限界があるのですが年末ということもあり

こちらの言い分は聞いてもらえないのが現実ですしょぼん


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