今月の中ごろにある得意先の方から商品が持ち込まれました。
それは見るも無残に黄変し、ヤケて退色も激しくさらに以前にどこかで直されていたらしく、いたるところに茶色くなったシミを絵の具を塗ってごまかしてあるというとんでもないものでした。・°・(ノД`)・°・
どこに頼んでも断られたらしく何とかしてほしいとのことでした。
しかし・・・・。
ここまでひどくなってしかも絵の具の塗りたくってある着物を着れるところまで修復するのにははっきり言って自信がありませんでした。
しかも得意先は言うことを言ったらさっさと商品を置いて帰ってしまうし・・・。
最低一ヶ月はこの着物にかかりっきりになるかなと憂鬱に思っていた矢先に得意先の非情な電話が!!
今まで断られ続けていて日にちがかなりたっている。着用日がきまっているので加工日数を二週間までで、それよりも一日でも早くあげてもらうと助かる!!ってこっちの都合はどうなんの?
っと思ったところで仕方ないんですよね(ノ_-。)
お客さんの都合に合わせないといけないからね。突貫作業で間に合わせないと!!
まずは全体にごまかしで塗られている絵の具を落としていきます。
溶剤で洗ってから洗剤で水洗します。これが結構時間がかかりました( ´(ェ)`)
次に黄変ジミを漂白していきます。全体にあるのでほかに漂白剤が付かないように気をつけて行っていきます。
このときに黄変の残留成分と漂白剤が化学反応を起こすところがあるので生地をいためないように細心の注意を払って作業を進めていきます。
漂白が終わったら染料で地直しをしますが、一回で色を合わせずに数段階に分けて徐々に色を合わせていきます。(真ん中の線は襟の折り目で生地が痛んでいるところです。)
ヤケているところやその他、変色しているところにも地直しを行います。
左がきた時の状態 右が直し終えた状態
得意先にお渡ししたときに、ここまで直るとは思っておられなかったようでとても喜んでおられました。
着物をお渡ししたときのお客さんの笑顔が目に浮かびます(=⌒▽⌒=)