「座・タイミング・オブ・unko(ユーエヌケイオー)」その1
友人のみっちゃんに、彼氏が出来た。
「彼氏ができたのー!」
嬉しそうにはしゃぐみっちゃん。
落ち着け。
凄まじく落ち着け。
あー彼氏ね?はいはい。
酢醤油で食べると美味しいよね。もしくはカラッと揚げて大根おろしと和えるとか。
死ねる。
「彼氏」っていうなんだかフレッシュな単語に縁が無さ過ぎて死ねる。私。
まぁそこは割り引いても、長年、なんかの病かってくらい男に縁のなかったみっちゃんに彼氏が出来たのは大変喜ばしい。
私はすかさずその新彼の兄弟関係・交友関係・職場関係にチェックを入れた。
もちろん私利私欲のために。
あわよくばみっちゃんの彼氏の紹介とかで、私も幸せ便乗できるかもしんない。
紹介してもらう前にみっちゃんカップルが破局しちゃったら元も子もないし。善は急げ。
「ちょっと今日はお祝いやで!私奢るし!食べろ食べろ!」
食べさせて彼氏紹介してもらえんならいくらでも食べさせるよ、私ゃ。
私を突き動かす衝動は「便乗してまで彼氏欲しーパッショネーゼ」。
「でもな、聞いて。」
突然みっちゃんの声のトーンが下がった。
「へ?」
「あのな、蒼にな、万が一彼が出来たとするやんか」
何その仮定。言うに事欠いて万が一て。まぁいい許す。この際聞き逃す。
「うんうん」
「その彼がすごい狭いワンルームに暮らしてるとするやんか。そいで半同棲っぽくなった場合にな」
「うんうん」
半同棲って一体全体何語?私はそう聞きたいのをぐっとこらえた。
「あの・・・・う。ウ○コってどのタイミングでしたらいいんやろ・・・」
みっちゃんは物憂げな視線を宙にさ迷わせながら、からからミルクティの氷をストローでかき混ぜた。てかかき混ぜんな。
私は帰りたかった。どうでもいいんだよーそんな事。
「座・タイミング・オブ・unko(ユーエヌケイオー)」なんて。
だって今の時代もっと考えることあるでしょ!オゾンとかなんとか。エコ宣言しちゃおうよー。
それでも。私がグッと耐えたのは、「あわよくば幸せ便乗彼氏紹介権」をGETしたかったから。
みっちゃんの機嫌を損ねたら全てがパーになってしまう!彼女のある意味頭がパーな相談にも聖母のごとく答えなけれぶぁ!
「そんなん・・・普通にしたらいいんちゃう?」
「できひんよ・・・ご飯一緒に食べるんもまだ恥ずかしいのに・・・」
ご飯を一緒に食べるのも恥ずかしい・・・か。私は記憶を一切合財探ってみたけど、「ご飯を食べるのが恥ずかしい」と思った過去がなかった。
そんな繊細デリケーションな心は残念ながら持ち合わせていない。
でも、そこまではいかないにしても「座・タイミング・オブ・unko(ユーエヌケイオー)」に悩んだことは私にもあった。
ざわめく夜の喫茶店で私とみっちゃんの「座・タイミング・オブ・unko(ユーエヌケイオー)プレゼン」が幕を開けるのであった。
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