カウンセリング
「もうめちゃくちゃ辛くて…」
電話越しに聞こえる啜り泣きの声。相談者の葵さん(仮名)は、海外での職場でのハラスメントに悩んでいました。
「それは辛いですよね…」
その日、葵さんは電話口で涙ながらに話してくれました。ニュージーランドで夢を叶えようと頑張っていた彼女は、やっと職場にも慣れ、ビザの申請も通り、生活が落ち着き始めたところでした。でも、その平穏な日々は、職場の上司からの度重なるアプローチによって崩されていったのです。
一見、真面目で周囲からの信頼も厚い既婚者の上司。しかし、葵さんへの執着は日に日にエスカレートしていきました。葵さんが明確に断ると、驚くべきことに、彼は「葵さんの方から誘ってきた」という虚偽の噂を職場に流し始めたのです。
このような事例は、私のカウンセリングの中でも度々出会うケースです。以前、30代の中国人女性(生徒)Aさんは、ピアノ講師から同様の被害を受けました。彼女の結婚が決まったことをきっかけに、講師の態度が豹変。結果、彼女はピアノを諦めざるを得なくなりました。「俺に誘惑をしてきた」そんな嘘を周りに言いふらしていたのです。
パワハラで訴えられる前に相手を悪者にするという、全く理不尽極まりない行為。人を好きになるあまり、相手の意思を無視し、拒絶されると攻撃的になる—このような理不尽な出来事は、私たちの身近で静かに、しかし確実に起きているのです。
葵さんは勇気を出して会社の上層部に相談しましたが、職場での噂に対する不安は消えません。せっかく築いた居場所が崩れていくのではないかという恐れに苦しんでいました。
普段から穏やかで優しい彼女だからこそ、余計に相手をモンスター化させてしまったのだと思います。心のない人は優しい人を好む傾向があるのです。自分の気持ちを満たしてくれるそんな人をターゲットにしていくのです。
葵さんの笑顔は太陽のように明るく、周りの人を元気づけてくれる方です。会社の上司だから、環境を悪くしてはいけないと、ストレスを感じながらも、自分をコントロールしながらコミュニケーションをとっていました。でも、何をやっても理解してもらえず、次第にエネルギーを消耗していってしまったのです。
私はそんな理不尽極まりない人への対処法をお伝えしました。対処法はいくつかありますが、その一つをご紹介しますと、ブラックな人には心を一切使わないことです。
私も心優しい彼女が苦しんでいることに腹が立ちます。しかし、心を使わないように、冷静に意識を集中しました。それがブラックな人への対処法になるからです。
自然破壊を及ぼす排気ガスのようなもくもくとした真っ黒いブラックウィルスの毒性の強い環境の中から、鳥の鳴き声が聞こえてくるような清々しい大自然の空気が吸えるよう、本来の葵さんの居場所に戻してあげるように。
無理矢理力を入れて、扉をこじ開けるような気合を入れて霊視をするのではなく、冷静に心を使わないで意識を傾けていました(瞑想状態に似ています)。
そのとき、私の目の前に、ふと馬の姿が見えたのです。葵さんについている宇宙の先輩が、その姿を見せてくれたのだと感じました。
「葵ちゃん、馬ちゃんが見えるのよ。可愛い、長い滑り台みたいなお顔が見えるの」
「え〜実は...前から乗馬したいと思って、でも、なかなか行けないなぁって思っていて…」
葵さんの声が、少し明るくなりました。辛い時、しんどい時こそ、自分の心が最も喜ぶ時間を作ることが大切だと私は思います。「葵ちゃんの宇宙の先輩が馬を見せてくれるのよ」そう伝えると、葵さんは早速、乗馬に挑戦してくださいました。
そして今日、葵さんから一枚の写真が届きました。ニュージーランドの大自然の中で、馬に乗る彼女の姿。その表情には、かつての明るさが戻っていました。「昨日まで大荒れた天気が今日は快晴で最高でした」というメッセージと共に。
上半身がピーンと伸びている姿は、まるで乗馬が初めてとは思えないほど。これは宇宙の先輩の導きもありますし、きっと葵さんは前世でも馬に乗っていたのだと思います。
負のエネルギーに飲み込まれそうになった時こそ、自分の心が求めているものに耳を傾け、気持ちを解放することが大切です。相手の負の感情をブラックウィルスと呼びますが、私たちは嫌な気分になったとき、このブラックウィルスに感染されていることがあるのです。
でも、あなたの好きなことは、宇宙の先輩も好きなこと。宇宙の先輩の好きなことは、あなたの好きなことでもあるのです。宇宙の先輩がわからなくても大丈夫です。あなたの胸の中の大好きなことをすれば良いのですから。
もしもあなたが理不尽で辛い思いをしていたら、そんな気分になれなくても、嫌な相手のことをいつまでも考える時間よりも、あなたの心から喜ぶ時間を大切にするように意識を向けてください。きっと、その先に光は見えてくるはずです。
愛を込めて
天使ホワイトさん 葵(仮名)さん