6月8日午前3時、大切な友が天国へと旅立った。
容体が急変したとの知らせを受け、県立医大病院へ駆けつけた。「ゴンくん、なにやってんの!」といつものように叱られることを少し恐れ、それ以上にそれを期待して、ナースステーションへ面会の許可を取りに行った。
無言のまま病室へ案内されると、彼はすでに天に召された後だった。
1935年にイギリスで生を受け、片田舎で育った。戦争の影響でまともに学校に通うことができなかった。10代で農場に就職し、豚小屋で聖書を読んだ。20代で神学校で聖書を学び、27歳で、宣教師として日本に渡った。以後50年、雨の日も風の日も晴れの日も、神とイエス・キリストを宣べ伝え続けた。全身を癌に蝕まれ、立っていることも困難な状態でも、いつもとまったく変わりない大きな声で、聖書のメッセージを語った。亡くなる数日前のことだった。享年77歳。チャールズ・ハロルド・ローレンス。
私が、赤ん坊の時、彼に抱いてもらったそうだ。私が通ったキリスト教系の幼稚園にも聖書を教えに来ていた。今でも覚えている。幼稚園の駐車場にさっそうと自転車で登場するローレンスさん。
私が二十歳のとき、彼の教会に通い始めた。 以来、10年間、精神の安定しないむしろ病んでいた私を心配し続けてくれた。何度も何度も辛い時、苦しい時、彼の家を訪れた。彼は、どんなときも、ぼくの顔を見ると喜んでくれた。そしていつも、ぼくのためにお祈りをしてくれた。
愛犬ゴンが死んだとき、涙をこらえた口調で、ほとんど泣いているような声で、神様に祈ってくれた。
ぼくが、キリスト教に反発して、しばらく礼拝に行かないでいると、いつも手紙をくれた。手紙の最後には、必ず「主にある友より」と記されてあった。
教会に2か月ほど行かなかったある日の夕方。彼が日課として毎日散歩している堤防で偶然あった。ぼくの姿を見ると、彼は思いっきりぼくを抱きしめ、目には涙がにじんでいた。
最後の最後の最後まで、ぼくは、彼に心配をかけ続けた。あれほどお世話になったのに、なんの恩返しも出来ずに、最後を迎えてしまった。
今日、彼の葬儀に参列する。
写真は、二人でよく散歩した堤防とそこから見えた夕日。彼が旅立った日にの夕刻に映す。
Dear Mr.Lawrence,
Thank you & See you again.
Your friend in Christ,
yoshi
