7月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

コロナ感染者爆増中ですアセアセ

コロナワクチン接種2回終了していますが、やはり人混みは怖いです。

8月のはじめに東京宝塚劇場で月組公演を観てきましたが、客席のおしゃべりは少しは減っているかなと思ったのですが、左隣の2人連れが休憩時間ずっとしゃべりっぱなしでした。右隣が空いていたので席を移動したい気持ちになりましたが、それはできないことですよね。

8月に後2公演分チケットが取れていましたが、キャンセルすることにしました。月組と宙組です。

チケット販売を、1席ずつ開けての販売にしてほしいと思いますが、できないのならせめて1人1枚の販売にしてほしいと思います。

 

7月に読んだ本のアップです本

 

35)谷津矢車著『絵ことば又兵衛』

先月に読んだ俵屋宗達が琳派の祖と言われるなら、今回の主人公は浮世絵の源流とされる岩佐又兵衛。

どちらも桃山から江戸初期に活躍しましたが、2人が交わることは無かったようです。

又兵衛の父親は信長に造反し家族が皆殺しにされた荒木村重。

母と思われる女性と隠れるように暮らしている吃音のある又兵衛が絵を知り、吃音のためなかなか認められないながらも絵に精進し、最後に「山中常盤絵巻」全12巻を仕上げるまでの物語。

読み応えがあり、波瀾万丈な人生を的確に物語にされたように思いましたが、しかーし、又兵衛の独特の人物描写をどのように獲得したのかという部分を物語の中心に書いて欲しかったなと思いました。

そして又兵衛の作品を是非見てみたいなとも思いました。

コロナと土石流災害が収まったらMOA美術館に行きたい。

 

36)東野圭吾著『クスノキの番人』

難しい解釈もいらないし、ひねくれたストーリー展開も無く、スイスイ読めて止まらなくなる。

誰でも楽しく、分かりやすく読め、そしてドキドキありで胸を熱くさせてくれる。

万人向け作家の王様が東野圭吾氏グッド!

さすがと感じた今回の著作OK

父母亡く祖母に育てられた長井玲斗。その玲斗が警察沙汰を起こす。そこで助け舟を出したのが今までお付き合いのなかった伯母。

伯母は玲斗に「クスノキの番人」を命じる。

渋々ながらも命に従うことに。そこでクスノキの秘密を知る。

玲斗と伯母(柳澤千舟)の関係と、クスノキで行われる預念と受念からなる祈念のことと、祈念に訪れる人々が織りなす物語。

そして最後に明かされる千舟の病気のこと。

そしてそして、すべてが解決に向かう読後の幸せ感は半端なかった。

玲斗くん大好きOK

 

37)佐野晶著『極道保育;わんわん保育園は今日もにぎやか』

刑務所に入っている間に組が解散し、出所後文無し無職のオジサンになった小柳徹。ヤクザ時代に知り合った女性から子供のお迎えを頼まれわんわん保育園に行く。そこで保育士の竹内やすみと知り合い、恋をし結婚する。

やすみは園長の娘で、徹とやすみは園長の家に同居する。

徹が保育士を目指し、まず用務員の仕事から始め、ヤクザ時代のノウハウを武器に色んな困難に立ち向かっていき解決するというあっぱれなストーリー。

まぁ下品なことは否めないが、それに増しても悪をぎゃふんと言わせる痛快感が楽しめた。

 

38)瀬尾まいこ著『夜明けのすべて』

藤沢美紗、28歳。PMS(月経前症候群)で生理直前でイライラが募り自分を押さえられなくなる症状に辟易している。

山添孝俊、25歳。突然起こったパニック障害で辛い毎日を送る。

2人とも大企業で働いていたが、仕事と人間関係で上手くいかず、社員6名の小さな会社栗田金属で働くことになった。

なんでも鷹揚に受け止めてくれる栗田社長の元、何とか勤められている。

美紗は山添の病気ことが、山添は美紗の病気ことが気になりつつも、お互い自分の苦しさほどでないと高をくくって接していた。

美紗、山添それぞれの視点で物語が紡がれていく。

お互い恋愛感情がないからこそ、それぞれが病気を理解し、仕事の助けをするように接していく過程が、瀬尾まい子さんの優しさに溢れた筆で描かれ、私はこの作家が好きでたまらないという思いに満たされた。

小さな事で笑って泣ける優しい物語だった。

 

39)寺地はるな著『架空の犬と嘘をつく猫』

祖父母、両親、姉の紅(べに)とその弟山吹(やまぶき)の6人で暮らす羽猫(はねこ)家。本当は山吹より2歳年下の弟青磁(せいじ)がいたが事故で亡くなった。

巨大妄想気味の祖父、訳の分からないものを売る祖母、女の所に入り浸っている父、青磁がまだ生きていると思っている母、この家にはまともな大人がいないという姉とそしてこれが家族と思う山吹。

山吹が6歳の1988年から5年ごとに物語が綴られて2018年36歳になるまでの7編にまとめられている。

周りのみんなに合わせて成長してきたように見えた山吹だが・・・?

“これは、破綻した嘘をつき続けたある家族の素敵な物語”と宣伝文句に書いてあったが、破綻した嘘が何なのか読んでいて私には分からなかった。が、5年ごとに綴られる山吹の色々な人との付き合いは面白いと思った。

 

40)諸田玲子著『ちよぼ;加賀百万石を照らす月』

前田利家の側室ちよぼ(寿福院)のお話。

ちよぼの生い立ちではなく、ちよぼとかかわりのあった人物とのエピソードが綴られていく。

そのエピソードを読むことによって、ちよぼの人となりや前田家にとってどれだけ大事な人であったかが分かっていき面白く読むことができた。

側室でありながら産んだ子が前田家の第3代藩主となり、正室まつの後を受け、人質として江戸で暮らし、そこが終焉の地となる。

まつとは多少の諍いや想いの食い違いはあったが、前田家の血を引く子や孫に目を配っていたちよぼは前田家の人々に慕われていた。

ちよぼは日蓮宗を深く信仰し、身延山久遠寺を始め菩提寺である能登羽咋の妙成寺に建てた五重塔が今も燦然とその姿を誇っているそうな。

前田家といえば「利家とまつ」しか知らなかったが、このちよぼの存在がこれから後の前田家のことを考えればとても重要に思えた。

そんな女性を見つけ出し小説にしてしまう、それもとても面白い物語で魅力的な女性を作り上げる作家の腕に感心しきりだった。

 

41)柚木麻子著『さらさら流る』

大学のサークルの飲み会で酔っ払った垂井光晴と東京の暗渠を巡りながら自宅に帰ることになった井出菫。

それがきっかけ付き合うようになるが、大学卒業後バリバリ仕事を始めた菫は結局光晴とは別れることになる。

有名なコーヒーチェーンの広報部宣伝課で働く菫は、ネットで販促資料をまとめていて偶然自分のヌード写真を見つけてしまう。それは6年前光晴に撮影されたもの。

菫は親友・家族・弁護士に助けられながらネット上からの消去を目指す。

付き合っていた時の光晴と菫の時間と、今の光晴と菫の時間が交差しながら物語が進んでいく。

菫はまた新しい道を見つけるのだが、この物語のなかで、一番心に残ったのが職場の人に流出写真のことを話したら、その人は「そんな写真を撮らせるような人」と菫を評価したことだった。それは至極もっともなことだと思った。

いくら愛していても好きだとしても、またいくら哀願されても自分がヌードモデルでない限り撮らせるべきではないと私は思う。

若い人には特に注意をしてほしいと思う。