5月の連休も終わりましたが、まだ緊急事態宣言継続中なのでステイホーム続けています。
私は虚弱児でした。小学校も休みがちで運動神経0で外で元気よく遊ぶということのない子供でした。その子供がそのまま大人になり、老人になりました。ですのでステイホーム全然苦にならず、今までと何ら変わらない生活です![]()
もうブログも書くことなく、読んだ本のアップのみで今月も終わりそうです![]()
18)荻原浩著『楽園の真下』
フリーライター藤間達海(とうまたつみ)は出版社から依頼されて『びっくりな動物大図鑑』を執筆中。
テレビで17cmのカマキリを見つけたとのニュースが流れていた。その大カマキリ(ついには2m級のものも!)が見つかったのが本土から船で19時間の南の楽園“志手島”。
藤間は自殺・不審死の水死体が多い島として認識していた志手島に興味を持っていた。
大きなカマキリが見つかったことで、出版社から取材の依頼(ただし自腹で)がきて、藤間は志手島に乗り込むことに!
そこで野生生物研究所の秋村准教授と知り合う。
そこから手に汗握る二人の大活躍が始まる!とは言い過ぎかな?
生態系は寄生虫によって牛耳られている⁉
人間に害を与えると悪者となる?でも寄生虫にとっては種を守るために必要なこと!撲滅だけがその方法ではないと思い知らされ、生態系の不思議に思いをはせながら守るべきことは何だろうと考えさせられた物語だった。
19)中村文則著『何もかも憂鬱な夜に』
刑務官の「僕」が、育った施設の施設長と仲間の恵子や自殺した友人真下、職場の先輩や担当の未決囚山井などとの交流、そして自分の奥底にある不思議な記憶。
それらが物語を紡いでゆくのだが、読んでいて憂鬱な気分に陥った。
もう読むのやめようかなと思いながらズルズルと最後まで読んでしまった。
投げやりな殺人囚山井が「僕」からもらった本を読んで、最後に控訴を決意するに至る心理が拙い言葉で書かれた「僕」宛の手紙に辿り着き、ここでやっと最後まで読んで良かったと思えた。
20)藤子・F・不二雄原作:辻村深月著『のび太の月面探査記』
2019年3月に公開された「映画ドラえもん」の原作小説。
月にウサギがいると信じているのび太がドラえもんの道具“異説クラブメンバーズバッジ”で月にウサギ王国をつくり、カグヤ星のルカ・ルナ・アルと友達になり、カグヤ星を支配しているディアロボと戦うお話。
映画を見ていないのでカグヤ星人をイメージできなかったのが残念!
声優が変わってからトンと見なくなってしまった「ドラえもん」ですが、
子供向けと分かっていても映画を見ると(テレビでだけれど)必ず泣いてしまう。
この小説でも最後はやっぱり泣いてしまった。
ベタだけれど友情優しさ相手を思う心に弱い私です。
21)はらだみずき著『銀座の紙ひこうき』
今は小説家として立っている神井航樹(かみいこうき)は、息子が就職のことで悩んでいることを知り、自分の就職活動とその後の会社勤めのことを思い出す。
本好きの航樹は出版社で編集の仕事をしたいと思い就職活動に勤しんでいたが、叶わず銀座にある紙の専門商社に何とか就職した。
「本は紙でできている」を胸に刻んで紙製造業から出版社への中継ぎ業務に携わっていく。
商社での仕事の話を中心に、高校時代の初恋の人との出会いと別れ、高校時代の友人の情報雑誌へのショート小説の原稿書きの依頼などの話が挟まれ物語が進んでいく。
私は紙が大好きで、紙の種類や大きさなどとても興味を持って読み進めることができた。
が、たった約2年間の商社勤めでの出来事が綴られていただけで、その後出版社に転職し40歳で小説家になっていくのだがその過程の方が小説として面白いのではないかと思った。
是非この続きを書いていただきたいと思う。
22)中野京子著『運命の絵』
図書館が休館になり、急遽ネット書店(Honya Club)で購入しました。
相変わらずのハズレなしで中野京子さん。
「一寸先は闇であり、予想も外れてばかりであるからして、人は不安をなだめるためにも運命の不思議さについて考え続けねばならない・・・(中略)・・・絵画でも。」(はじめにより)
17章に23作品
一番面白かったのは、擬人化された「運命」章。
ジョヴァンニ・ベッリーニ作『好機』とアルブレヒト・デューラー作『ネメシス』で運命が擬人化された絵画が紹介されている。
復讐の女神メネシスが描かれ、それぞれに特徴はあるが、翼を付け、球体に乗り、手には褒美の壺を持つ。幸運をつかみチャンスをものにするという意味を表しているそう。
知らない画家に知らない絵が多かったが、著者の解説を読みながら絵を眺め、その作品の奥にある物語を楽しむことができた。
そして読み終えた後のため息“あぁ本物を見てみたい”
23)橋本治著『九十八歳になった私』
昨年の1月に70歳で亡くなられた橋本治さん。私が現代作家で一番尊敬している方です。上顎洞癌を患っていたそうです。早すぎる死をニュースで知った時には本当に驚きました。
橋本治、もうすぐ68歳の時、出版社の依頼で30年後の自分を小説にしてみるをテーマに書かれたもの。
首都圏直下型地震が起き、生き残り、日光の杉並木にある仮設住宅に住み、ボランティアのバーさんのお世話になりながら、ポットに見守られながら日々を過ごす老人の独白で物語が紡がれてゆく。
“老境の神髄を愉快にボヤく、人生賛歌の物語”とありました。
その通りで、とても楽しく読めました。
共感や感動とかではなく、ナンかイイんですよね!橋本治さんは!
好きというよりその仕事ぶりが尊敬できる方です。