11月も11日になっていましたぁ![]()
11月の宝塚観劇は24日の花組千秋楽ライブビューイングのみです。
10月に読んだ本のアップもやっと今頃![]()
54)米澤穂信著『遠まわりする雛』
<古典部>シリーズ第4弾
折木奉太郎、高校に入学してから過ぎゆく1年の出来事を綴った短編7編。
やるべきことなら手短に:高校入学後の4月の終わり。学校の掲示板に妖しい勧誘ポスターが?
大罪を犯す:梅雨時の6月。千反田えるが数学教師に怒った?
正体見たり:夏休み中の8月。古典部4名は温泉旅行に。そこで首つり事件?
心あたりのある者は:11月のはじめ。校内放送の謎に挑む奉太郎。
あきましておめでとう:元旦の荒楠神社。納屋に奉太郎とえるが閉じ込められるという事故が起こる。凍え死しそうな寒さの中で奉太郎は苦心のなぞかけを!
手作りチョコレート事件:バレンタインデーの日に摩耶花は里志に手作りチョコレートを渡そうとするがそのチョコが無くなってしまう。犯人は?
遠まわりする雛:新学期から2年生という1年生の春休み4月。旧暦で行われるえるの地域のひな祭り。雛に扮した人が街中を練り歩くというもの。その傘持ちを奉太郎は依頼された。その道中に通行止めがあり遠まわりすることに。なぜそうなったのか?奉太郎の推理が真相を暴く?
古典部の面々のキャラが面白い!奉太郎の推理も楽しい!ちょっとした手を使ってえるを納得させるのもアリと思ってしまう。
一年間の古典部面々の距離感が描けていて、読むほど登場人物への思い入れも加わっていった。
55)佐野徹夜著『君は月夜に光り輝く+Fragments』
9月に読んだ『君は月夜に光り輝く』のキャラクターが登場する短編集。
もし、キミと:まみず亡き後、卓也がまみずのやりたいことの最後をやる高3の夏
私がいつか死ぬまでの日々:入院生活の中で、まみずが卓也と出会い、卓也に自分のやりたいことをしてもらって感じるまみずの偽らない気持ち
初恋の亡霊:中学受験の会場でまみずに出会い恋をした香山彰の中学校と高校の出来事を香山目線で
渡良瀬まみずの黒歴史ノート:まみずのプライベートを綴ったノートを卓也がのぞき見し、まみずの成長に想いをはせる
ユーリと声:偏差値だけの基準で大学の芸術学部に入学した香山。その大学の卒業生市山侑李と知り合い、侑李と侑李の子供(小学生の声ちゃん)に翻弄される香山
海を抱きしめて:医師となり、まみずのことを心に留めおきながら生きる31歳の卓也
前作と比べ、こちらの方はあまり面白いと思えなかった。
香山の生き方は自堕落だし、卓也は優秀過ぎる。
大切な人の死 悲しいし辛いけれど日常は続いていくのだから、もっと違う物語の書きようがあったのではないのかな?と思った。
56)米澤穂信著『ふたりの距離の概算』
<古典部>シリーズ第5弾
高校2年に進級した古典部の面々。
進級しての部活動としてまず新入生獲得を目指す。神山高校でそのための新入生勧誘週間が始まる。
そして1年生大日向友子が仮入部する。しかし仮入部期間が終わり本入部に移る時入部しないと言う。
何があったのか?入部締切日の5月に行われる恒例行事、2万メートルマラソン大会で走りながら奉太郎はその原因を探る。
マラソン大会当日の奉太郎の走った距離と新入生勧誘活動からの仮入部の日々がシンクロされて物語が綴られていく。
このシリーズ5作ともハズレなし!
面白かった。登場人物のキャラ、物語のスジ共に愛おしい。
アニメ作品も見てみたい。
57)大﨑梢著『宝の地図をみつけたら』
坂上晶良と桂木伯斗は幼なじみ。こっそり手に入れた祖母たちが持っていた「武田氏の埋蔵金の眠る村」の地図。2人は村探しに夢中になるも、5年生の時突如中断、その後は付き合いなくそれぞれ大学生に。
地元に残った晶良のもとに東京の伯斗が突然現れ、もう一度宝の村探しをしようと言う。
武田氏の宝探しの物語かと思っていたら、振り込め詐欺グループの内輪揉め話が入り混じり、伯斗が命の危険にさらされたりととんでもない方向へ。
私は純粋な埋蔵金探しの物語であった方がロマンと夢があって良かったと思う。
58)伊東眞夏著『深読み百人一首;31文字に秘められた真実』
100首から14首を選びその和歌の詠み人と時代背景について著者独自に読み解いた作品。
選ばれたのは、清原元輔・凡河内躬恒・法性寺入道前関白太政大臣・権中納言定家・従二位家隆・後鳥羽院・壬生忠見・皇太后宮大夫俊成・河原左大臣・持統天皇・在原業平朝臣・西行法師・鎌倉右大臣・和泉式部の和歌14首。
分からないことが多い人物や時代背景を面白く説いていたと思う。小説を読んでいるように著者の語りにグイグイ引き込まれ最後まで読んでしまった。
副題につけられている真実は信じない方がいいとは思うが・・・。
59)宮部みゆき著『誰か Somebody』
杉村三郎シリーズ第1弾。この後シリーズ化されると思わずに書かれたのではと思えた作品だった。これ1冊で読みごたえがあり面白かった。
今多コンツェルン会長の非嫡出子菜穂子と結婚し、会長の結婚許可条件であった同社広報室で働いている杉村三郎。
暴走自転車に轢かれ死亡した会長直属の運転手・梶田信夫。その娘たちから父の人生の本を書きたいとの申し入れに協力することに。
姉・聡美と妹・梨子の熱意に差があり、三郎も梶田の人生を辿り始める。調べていくと・・・。三郎の推理がなかなかで面白い。
三郎と菜穂子との出会いから、2人の一粒種桃子の出生と楽しい生活が描かれていて、三郎の菜穂子や桃子に対する想いが幸せ感に満ち溢れ、人から投げかけられる妬みや嫌味に対し平然といる三郎の力の抜けた佇まいがとても魅力的だった。
ストーリーと共に三郎が心に残った小説だった。
また杉村三郎に会いたくなった。