9月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

10月は爽やかイメージですが、まだまだ暑かったり、急に寒くなったりしそうだし不安定ですよね。

 

9月に読んだ本のまとめです本

 

47)藤まる著『時給三〇〇円の死神』

足が速くサッカー選手として活躍しモテモテの輝く日々を送っていた中学時代の佐倉真司。

しかし中学3年に足を怪我して走れなくなってしまってからは、父親が逮捕され、母が出ていき、お金も無くしょぼくれた高校生活を送ることになってしまった。

そんな真司に、同級生の花森雪希は時給300円の死神バイトの声をかける。

未練を残したままこの世に残り続ける《死者》を、その未練を成就させあの世に送り届けるのが《死神》の仕事。

花森とコンビを組んでお金のため仕事を始めることに!そして半年間勤め上げればどんな願いもかなえてもらえるというのにも魅力を感じて!

一人目は同級生で元恋人、妹とのことで悩んでいる朝月静香。

二人目は無くした手紙を捜す黒崎。

三人目は出産途中で死んでしまった広岡加奈。

四人目は虐待の末に死んでしまった四宮夕ちゃん。

嫌々仕事をしながらも真司は、《死者》と接することによって、また花森と共に行動することによって、様々なことを感じ受け入れ、大切なこと大切な人を知る。

半年後の仕事終了日には《死神》としての日々の記憶は全て無くなってしまうのだが・・・。

《死神》の記憶をなくしても心の奥底に残る真司の想い・・・。

うぅぅぅぅえーん切ないガーン

 

48)米澤穂信著『クドリャフカの順番』

<古典部>シリーズ第3弾

いよいよ始まった神山高校文化祭。通称カンヤ祭の3日間。

始まる前日の夜から文化祭終了まで♠折木奉太郎、♥千反田える、

♣福部里志、♦伊原摩耶花のそれぞれの語りで物語が紡がれていく。

注文数間違いにより大量にできてしまった文化祭で販売する古典部の文集「氷菓」。3日間で売り切るためそれぞれが頭を悩ませている最中に、奇妙な連続盗難事件が起こる。

古典部4人のキャラが立ってとても面白い。

「氷菓」売り込みのため奮戦するえるを応援したくなるし、文化祭を楽しみながら「氷菓」の宣伝をする里志もいいし、漫研で漫画について堂々と先輩に意見を言う摩耶花の力強さに惹かれるし、そして連続盗難事件の「十文字」法則を見つけ、犯人を見つけ出し、解決に向けて繰り出す奉太郎の推理力の素晴らしさ!それは「氷菓」の完売にも道を付けることに!

この高校生たちに栄光あれ!めっちゃ面白い!

 

49)垣谷美雨著『後悔病棟』

神田川病院に勤めて10年、末期がんの患者を担当する医師早坂ルミ子は未だ患者の気持ちを掴むことができず、ベテラン看護師松坂マリ江にはため息をつかれ、患者の親には無神経をなじられることも。

そんなルミ子はお昼休みに花壇で聴診器を拾う。

その聴診器を患者にあてると患者の心の声が聞こえ、患者が望んでいたもう一つの世界を体験できるというものだった。

女優の娘千木良小都子は母に反対された女優になること、IT関連会社に勤める日向慶一は会社中心だった生活を家族中心の生活にすることを、娘の結婚に反対し独身のままでいる娘を案じる雪村千登勢は娘が結婚することを、大手建材メーカーに勤める八重樫光司は親友純生と過ごした中学校時代に戻ることをそれぞれ夢の中で体験する。

体験することで患者は今と未来を納得し死を迎えることに。

ルミ子のカブも上がっていく。

そしてルミ子と母を捨てた末期がんの父と対面する・・・。そこにいるのは医師として人間として成長したルミ子だった・・・。

いつも時節の問題を取り上げ、考えさせながらも笑わせてくれる垣谷美雨さん!今回は不思議な聴診器を使っての人間の後悔にまつわる話は良かったと思う。が、人生は後悔ばかりだけれどやり直したいとは思わないかなうーん

 

50)宮部みゆき著『希望荘』

『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』に次ぐ、杉村三郎シリーズ第4弾

このシリーズ初読み。

宮部みゆき作品、結構読んでいるつもりだったけれど、杉村三郎は知らなかった。

山梨の小さな町で生まれ育ち、大学入学から東京へ、卒業後は児童書の出版社に就職、そこで働いているときに今多菜穂子と知り合い結婚し、菜穂子の父が率いる今多コンツェルンに転職。その後菜穂子の不倫により離婚、と共に今多コンツェルンも退職。郷里に帰る。そして調査会社オフィス蛎殻所長蛎殻昴と出会い再び東京へ。

今は「調査員 杉村三郎」と「杉村探偵事務所 杉村三郎」の名刺を使い分けて生活している。

本書は探偵 杉村三郎の物語。4編からなる。

聖域:借りている古家のご近所さんから、亡くなったとされている三雲勝枝を見かけたとのことで、三雲勝枝を捜すことに

希望荘:亡くなった父親が、“昔 人を殺したことがある”と告白していたのでその真偽を調べてほしいとの依頼があり、調査をすることに

砂男:山梨に帰郷していた時にお世話になった観光客向けの直売所の店長と偶然東京で出会い、山梨で起こった事件を思い出し、ことの顛末を描いたもの。この事件がきっかけで蛎殻昴と出会い今がある。探偵杉村三郎誕生の物語。

二重身:東関東大震災から2ヵ月経った頃、傾いた古家から大家竹中家の母屋に事務所を越した杉村のもと、高校2年生の伊知明日菜が訪ねてくる。母が付き合っている雑貨店の店主昭見豊が震災の前の日に「東北の方へ行く」といって行方が分からなくなっているから探してほしいという。高校生からの仕事は受けない杉村だが・・・。

杉村の足を使った地道な調査で問題解決や真相に辿り着く行動に説得力がありとても面白く読めた。特別濃いキャラで無く普通のおじさん杉村が気に入った。シリーズ1作目から読んでみたいと思った。

 

51)竹内真著『図書室のピーナッツ』

高校の学校司書高良詩織は、本を読んだ人がその本に込めた想いを知ることができるというちょっと不思議な能力を持っている。祖母には決して人に言ってはならないとくぎを刺されている。

司書の資格なしで仕事を始めた詩織が図書委員の生徒や市立図書館司書との交流を通して成長していく物語でしょうか。

図書室で行うことと言ったら展示、調べもの対決、読書会、図書室ノートそれと司書体験?

本好きの生徒たちとのなれ合い物語のように感じてしまい、詩織にも共感することができずに読み終えてしまいました。

 

52)佐野徹夜著『君は月夜に光り輝く』

私立の中高一貫校で高校1年になった最初のホームルーム。岡田卓也は同じクラスに中1の時から月の光を浴びると体が光るという“発光病”で休んでいる渡良瀬まみずという女子生徒がいることを知る。

ひょんなことでクラスの寄せ書きを病院のまみずに届けることになった卓也。またそこでまみずの大切にしているスノードームを落として壊してしまったりで、まみずがノートに書き留めているしたいことを代わりに卓也がすることに!

嫌々ながらまみずのしたいことを行動に移す卓也。

卓也とまみずの距離が近づいていくが・・・。

卓也の大好きだった姉の死という心の傷や、友の香山との微妙な関係と香山のまみずへの想いなどが絡み合って物語が紡がれる。

ICレコーダーに残したまみずの最後の言葉を聞きながら卓也は前を向いて生きて行こうとする純愛物語かな?

私は好きです。若いっていいですね!羨ましいよハート

 

53)小泉喜美子著『弁護側の証人』

1963年に書かれて刊行された作品で、1978年に文庫化され2009年に文庫で再刊行されたもの。

“一度は世に埋もれてしまった名作をあなたの手で救い出してください”の新聞広告を見て読んでみた。

ヌードダンサー漣子(みなこ)は八島財閥の御曹司八島杉彦に見初められ結婚する。

八島家家族や関係者から歓迎されるわけがなく、針の筵状態の新婚生活。その時杉彦の父龍之助が殺害されるという事件が起こる。

犯人が捕まり、死刑判決が出されるという時、敏腕弁護士清家洋太郎によって新たな証人が招聘される。

捕まった犯人は誰?真犯人は?

時代背景はさすがに古さを感じるが、推理小説としては面白かった。

ヌードダンサーとはいえ言葉遣いが凄く丁寧で美しかったことに感心した。

著者は生島治郎・内藤陳の元夫人で51歳の時事故で亡くなっている。