6月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

2019年ももう半分過ぎ、その7月も6日経ってしまいました目

晴れると暑く、雨だと寒く、身体があっちゃこっちゃどーするんといった状態ですアセアセ

どうぞくれぐれも無理なさらないようお過ごしくださいねニコ

6月に読んだ本のまとめです本

 

28)三浦しをん著『愛なき世界』

国立T大の赤門の向かいあたりにある洋食屋「円福亭」の住み込み店員藤丸陽太。店主円谷正一の料理に惚れ店員となる。

要望のあった宅配サービスで、T大大学院生物科学松田研究室を訪れる。そこで院生本村紗英と知り合う。

松田研究室では植物学を研究し、本村はシロイヌナズナの葉を研究している。実験室で顕微鏡を覗かせてもらったり、ひたすら細胞の数を数える本村の姿を見て、藤丸は本村を好きになる。

好きだと告白する藤丸に“愛のない世界を生きる植物の研究にすべてをささげると決めているので、だれともつきあわない”と答える本村。

円福亭店主円谷とその愛人はなちゃんや、松田教授を中心とした研究室の面々などの登場人物のキャラの面白さと、ものすごく大変で細かい研究内容などが書き込まれたこの物語。やぁー良かった。

時に大笑い、時に真剣、時に涙、時にごくりとのどが鳴る、この小説は愛ある世界だラブ

 

29)辻村七子著『宝石商リチャード氏の謎鑑定』

テレビ局の夜勤バイトの帰り道で酔っ払いに絡まれているリチャードを助けた公務員志望の堅実な大学生中田正義(なかたせいぎ)。

リチャードは、髪は金色、瞳は青色、甲高の頬、通った鼻筋、なめらかな白い肌の美しい人間。スリランカ系英国人の敏腕宝石商。

助けたことが縁で正義はリチャードの店でバイトをすることに。

正義の持っているおばあちゃんの形見のピンクサファイア。

その宝石に込められた謎を解き明かすリチャードの推理。その推理によってその宝石の持ち主の心までほぐしていく。

他ルビー・アメシスト・ダイヤモンド・ローズクオーツの宝石と持ち主の悩みが描かれている。

私は宝石にはいまいち興味が無かったが、宝石のことを知り、鉱物のことを知ることができ大変面白く読めた宝石赤宝石白宝石紫

 

30)奥田英朗著『我が家の問題』

ささやかな家族の問題を扱った6編の短編集

甘い生活?:新婚の会社員田中淳一の出来過ぎる妻に感じる小さな不満。その解決策は?

ハズバンド:優秀な学歴を持つ夫は会社では仕事ができないことに気づいた妊娠中の妻井上めぐみの取った行動は?

絵里のエイプリル:両親が離婚したがっていることを祖母からの電話で知った高校3年生の浜田絵里。同じクラスの友達に相談するうちに離婚に前向きな気持ちになっていく。

夫とUFO:専業主婦の高木美奈子。夫がUFOを見、宇宙人と交信できると言い出した。問題解決のため美奈子はコピー星人となって夫を説得に。

里帰り:夫 岸本幸一 IT企業技術職。妻 沙代 デパート勤務。結婚後初めてのお盆休み。夫の実家札幌と妻の実家名古屋に里帰りすることに。これで夏の休暇が潰れてしまう。不満を抱えながらも実家で過ごすうちそれぞれの実家や親せきの良さが分かってくる。

妻とマラソン:46歳のN木賞受賞作家大塚康夫。自宅で仕事をしている。専業主婦の妻里美の目下の趣味はランニング。康夫は出版社の編集者から東京マラソンの出場権をもらう。戸惑う里美に出場を促す康夫。さて・・・?

普段に起こればちょっと悩んでしまう家族の問題がそれぞれの家族がそれぞれに解決していくさまが面白く楽しめたお話だったお母さんお父さん

 

31)奥田英朗著『我が家のヒミツ』

前作品に引き続き奥田英朗作品を読んでみた。

今作品も家族の姿を描いた6編の短編集。

虫歯とピアニスト:歯科医院の事務員として働く小松崎敦美。建築士の夫と結婚して数年。どうも自分たち夫婦には子供ができないみたいと悟り始めた敦美。夫の実家から呼び出しがかかる。そんな時敦美が務める歯科医院に憧れのピアニストが診療に・・・。

敦美の夫孝明が自分たち夫婦のことは自分たちでと考えていてとても良かった。

正雄の秋:同期入社のライバル河島に昇進レースで負けてしまった植村正雄。行き場のないやるせなさに意気消沈する。休暇を取り妻と旅行に。その旅行の最中に河島の父が亡くなり、旅行を中止し妻と共に通夜に出席する。そのことが正雄の気持ちに変化をもたらす。

アンナの十二月:アンナ12歳の誕生日に本当の父親のことを知る。その父が有名演出家であることを知り、アンナは会うことに・・・。育ての親とは違う優雅な父に憧れてしまうアンナ。しかし友達の言葉に育ての父のことを思い直すアンナ。アンナとてもいい子。

手紙に乗せて:母が亡くなり、父と妹のいる実家に戻った若林亨。涙にくれる父親にとまどう亨。同じく妻を亡くした会社の上司がなにくれなく亨の父を気遣ってくれる。父に上司が手紙を書いてくれ、それに返事を書いた父。慰めや励ましではなく、同じ悲しみを持つ者同士にしかわかりあえないこともあるよねと共感した。

妊婦と隣人:産休中の葉子は隣人の異常さが気になって仕方がない。警察に通報したり、ついに尾行まで⁉その結果は?

妻と選挙:先の『我が家の問題』でも登場したN木賞受賞作家大塚康夫と妻里美が再度登場。今回里美が市会議員選挙に立候補することに。最初は引いていた康夫だが、妻の劣勢に遂に応援演説を引き受けることに。そのかいあって・・・!

N木賞受賞作家と言えども時間が経つと出版社の態度にも変化があり、それに翻弄される康夫が面白く、また妻を応援する康夫に愛おしさを覚えた。

夫婦や親子の重大な問題が軽やかに解決されていくさまが読んでいて嬉しくなった短編集だった家

 

32)村山早紀著『コンビニたそがれ堂』

風早の街の駅前商店街のはずれ、古い路地の赤い鳥居が並んでいるあたり、夕暮れ時不思議なコンビニを見つけることがあるそう。

レジには長い銀色の髪に金の瞳のお兄さんがいて、ほしいものが必ずあるコンビニで、その名は「たそがれ堂」。

お客さん第1号は子猫の写真のついたメモ帳を捜していた小学5年生の江藤雄太君・・・コンビニたそがれ堂

第2号はリカちゃん人形を捜す小学3年生のえりかちゃん・・・手をつないで

第3号はラジオアナウンサー野々原桜子。何気にコンビニたそがれ堂を見つけお稲荷さんにおでんにそして桜の花びらが散ったような模様のストラップを購入。それから街のシンボル桜の木の下で不思議な女の子に出会う・・・桜の声

第4号は病気の猫。捜し物は人間になれるキャンディ・・・あんず

第5号は古くなって壊れてしまったテレビを捜す女の子・・・あるテレビの物語

どのお話も他愛のない物語なのですが、やさしさに溢れていて心が洗われる。大人にもこういう物語は必要だなぁと思ったコンビニ